京都府

京都府議会とEM

平成12年2月定例会

◯熊谷哲君
 次に、微生物を利用した環境対策についてお伺いいたします。
 まず、昨年3月に「京都府ごみ処理広域化計画」を策定し、環境負荷の低減と「資源循環型システム」を構築し、持続可能な環境対策の実現に向けて努力されておられますことに敬意を表します。
 さて、これからの課題は、いかにごみの減量化を図るか、2次廃棄物の少ない処理をどのように確立するか、再資源化にいかに道筋を開くか、に焦点を当てられるものと思われます。そこで、私は、特に微生物利用という観点から、お伺いいたします。
 最近になって、微生物の持つ環境浄化力を生かした自治体独自の取り組みや新たな技術の開発と、それに伴うさまざまな成果が報告されております。例えば、沖縄・琉球大学の比嘉照夫教授が発見・開発されたEM(有用微生物群)は、当初、土壌改良材として開発されたものの強い環境浄化力もあり、生ごみの処理や水質浄化、悪臭の分解などを初め、多種多様な方面においてその効果が報告をされております。岐阜県可児市では、平成4年からEMによる生ごみ処理に取り組み成果を上げているとのことでありますし、同様の取り組みが沖縄県具志川市などでも進められております。また、スイスのオルファーテクノロジーの開発した廃棄物処理システムは、1時間に5トンから20トンのごみ処理能力があり、20時間連続運転が可能というものですが、これにEMを併用しますとオゾンドラムのシステムが不要となるため、単純に見てもこれまでの経費の3割を節減できるなど、新たな技術との融合も模索されています。また、浄水場や下水処理施設などでは既に微生物を利用した高度処理が現実化するなど、まさにこの微生物の持つ可能性は極めて大であり、その能力を生かした環境対策は21世紀のトレンドになるとの確信を持っているのであります。この環境対策における微生物の利用と、また京都府における政策展開について御所見をお伺いいたします。
 さて、さきに行われました環境対策特別委員会の管内視察で舞鶴リサイクルプラザを訪れた際、EMを使った生ごみ処理器の購入に対し舞鶴市が補助を行っていることをお伺いいたしました。全国的にも福島県いわき市や郡山市などで同様の補助が行われておりますし、また木津町リサイクルステーションではEMを利用した生ごみ処理の研究会が行われていると仄聞しております。
 そこで、EMにとどまらず、京都府内の各自治体において微生物を利用した生ごみ処理の研究を行っている事例、あるいは生ごみ処理器や浄水器など、一般消費者の器材購入に対し補助などを行っている事例がございますでしょうか。ございましたら、どの自治体がどのような施策をとっているか、お示しください。
 ところで、一般家庭で生じる生ごみをこうした生ごみ処理器によって堆肥化いたしますと、とても家庭菜園程度の使用量では供給量が多過ぎて消費し切れず、特に都市部においてその再利用先が確保されにくいということに最大の難点があります。長岡京市では、住民が生ごみでつくった堆肥を使い自由に作物を栽培する「エコ農園」が1995年7月にオープンし運用されておりますが、当然のことながら、土地に限定があり、だれもが利用できるということにはなっておりません。今後のごみ減量とリユースを考えるとき、この微生物を利用した生ごみ処理器の普及と、そこで生じる堆肥の再利用地を確保するという一連の大きな循環サイクル創造のために、広域的に取り組んでいく必要があると思われます。
 加えて、過日公表されました「自然環境に配慮した農業を支援する制度」におきましても、支援を受けるために必要とされる環境に配慮した栽培方法の導入計画について、土壌の改良と農薬散布の各段階での微生物の利用、肥料段階での生ごみ堆肥の利用も認定条項に加えるべきであると考えます。また、金融・税制面での支援のみならず、こうした微生物を利用した環境対策・農業施策の情報提供、市民団体との交流などのフォローアップが求められると思われますが、いかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。

◯企画環境部長(中北哲雄君) 微生物を利用した環境対策についてでございますが、生活ごみ、とりわけ生ごみの再利用や減量化のためには微生物を活用することは従来から有効な方策の一つとして用いられてきておりまして、コンポスト容器──生ごみの堆肥化の容器でございますとか、議員御指摘のEM菌を利用する容器などの設置に対しまして、府内でも31の市町村が家庭向けに補助制度を設けているところでございます。
 京都府といたしましては、地域特性に応じた減量・リサイクルの多様な取り組みの一つとして高く評価し、これまでに市町村の実施するEM菌を利用した堆肥化モニター制度などに対しまして補助を行ってきたところでございますが、今後とも、こうした廃棄物処理にかかわる新技術などを広く市町村に紹介・普及する機会を設けてまいりたいと考えております。

平成18年6月定例会
◯北岡千はる君 民主党・府民連合府議会議員団の北岡千はるでございます。さきに通告をしております数点につきまして、知事並びに関係理事者に質問いたします。よろしくお願い申し上げます。
 初めに、EM菌の研究と活用について質問いたします。
 EMとは、人間にとってよい働きをする微生物である乳酸菌・酵母・光合成細菌・放線菌・糸状菌を集合させた液体状の有用微生物群で、沖縄県琉球大学農学部の比嘉照夫教授によって開発されました。このEM技術は農業に根差したものであり、EMを土壌に入れることによって土が蘇生され、土壌環境が変わり、本来の生態系を取り戻すことによって自然な形で植物が栽培されるようになり、連作も可能になるとされています。EM技術は農業から始まり、畜産への活用、日々の生活から発生する生ごみ、米のとぎ汁の有効活用、また、EM活性液による河川や海の浄化が可能となっています。さらには、教育・福祉・医療・建設等、多方面にわたってその活用の輪が広がり、国内では600以上の自治体を巻き込んだ運動となり、世界では130カ国以上の国々に広がり、EM技術を活用した政府との共同プロジェクトも数多く誕生していると聞いております。EMの活用、EM技術については科学的には完全に解明されていない部分もありますが、各分野に大きな効果をもたらしており、百の論理よりその実績は顕著であります。
 ここで、EM技術の具体的な取り組みとその効果について、ごく一部を御紹介させていただきます。まず、私の地元左京区大原地域のNPO法人「大原里作り協会」における女性を中心とした「EMlove大原ネット」の活動では、公衆トイレの悪臭を8カ月間EMを使用することによりほとんどなくしたことを機に、地域を流れる川に定期的にEM活性液を投入し、見た目にもその浄化が進んでおります。また、生活排水による汚染源を浄化源に変え、高野川を上流から美しくしていくことを目的に、全戸にEM活性液を無料配布し、家庭から流していく活動も続けておられます。ことしはホタルが乱舞する箇所もふえています。また、農作物では、EMとEMテクノペレットを使用し、除草剤を使わず、追肥もせずに栽培したシソが良好に成育した例を初め、いわゆる強い農作物をつくることなどの成果を上げている例もあります。
 あわせて、この会ではEM活用勉強会としてEM活用先進事例地の見学を実施し、活動の推進に努めておられます。その中でも、福井県宮崎村の下水処理へのEM技術活用は、その効果について私自身も実感するものでありました。処理方法の詳細は省略いたしますので概略の説明ですが、御当地の各世帯からEMを投入し、収集されたし尿処理施設にもEM技術を活用し、最終時には浄化水と堆肥等になります。結果、汚泥が少なくなり、その処理コストも低くなるということです。また、処理過程のし尿が全く臭気を感じなかったことが印象的でありました。こういった地域住民や団体等の協力と行政の積極的なEM活用の事例はほかにも多く見られます。滋賀県野洲市中主漁協では、昔のようなシジミ漁の復活を目指して浜にEMを投入する事業を計画し、市が250万円の予算をつけ、今月、7月から実施する予定と伺っております。また、EM技術を活用した事例には畜産分野にも生かされており、EM導入10年目の酪農家からは、その効果として悪臭緩和とハエ発生低減、病傷の減少、また、廃棄牛乳やふん尿処理問題の解決などの報告もされています。さらに循環型地域社会づくりを目指した環境浄化活動としては、京都の二条城などお城のお堀浄化、生ごみの飼料化、小学校など学校教育における環境教育、また、福祉の分野では、利益率が高く、安定した作業でリハビリ効果も高いとして、生ごみの脱臭や堆肥化、水質浄化などに効果があるとされる「EMボカシ」の受注をしている授産施設等々の事例が挙げられます。
 以上、EM活用技術の活用事例のほんの一部を御紹介いたしましたが、EMを初めとする有用微生物の効果は、実際にその変化や成果を見ていただくことにより理解し、納得いただけるものであります。また、有用微生物の活用を通じて、自然農法による安心・安全な農産・畜産物の生産や環境浄化の実質的な成果のみならず、環境教育や意識の向上、また人と人をつなぎ、よりよい地域社会づくりにもつながると考えます。
 そこで、知事にお伺いいたします。EMを初めとする有用微生物の農業を初めとした技術活用について、府の研究機関における現状についてお聞かせください。また、あわせて府の積極的なお取り組みを期待するものでありますが、今後の方向性についてもお考えをお示しください。

◯知事(山田啓二君) 北岡議員の御質問にお答えいたします。
 有用微生物の活用についてでありますが、私たちはお酒の例を持ち出すまでもなく、古くから食品の製造など、さまざまな分野で積極的に微生物を活用してまいりました。一時期「沈黙の春」に代表されますように、化学合成による薬に頼り、自然の環境に対し敬意を払わなかった時期がありましたけれども、近年、食の安心・安全に対する関心や、水・大気など地域の生活環境に対する保全意識が高まっており、EM菌等を活用した家庭の生ごみの減量・リサイクル、河川や湖などの浄化活動が行われているところでありますが、自然と共生する循環型の地域社会づくりを進めていくためにも、自然界に存在する有用微生物などさまざまな有用資源の一層の活用の促進が重要であるというふうに考えております。
 このため京都府では、農業関係の研究機関におきまして、農作物の生育促進効果や病害抵抗性をもたらします有用微生物の機能に着目し、それらを活用して、化学肥料や化学農薬に頼らない環境にやさしい農業生産技術の研究開発を進めてまいりました。具体的には、トウガラシの成育促進に効果がある土壌微生物を選抜して製剤化し、既に「伏見とうがらし」の生産に利用しているほか、世界で初めての乳酸菌によります微生物農薬の開発にも取り組んでおります。一方、環境分野におきましては、食品廃棄物のメタン発酵によるバイオマス発電システムを構築する「京都エコエネルギープロジェクト」の実験も進めているところであります。
 有用微生物につきましては、既にEM菌を初めとするさまざまな微生物資材が利用されておりますけれども、これらの中には菌が特定されていないため、必ずしもその効果が検証されているとは言えないものも含まれておりますので、京都府といたしましては、今後とも農業生産の現場等が抱えるさまざまな課題の解決に有効な微生物の特定とその応用に関する研究を進め、まだまだ未解明な部分が多いこの分野においての実証的な利用促進を図り、有用微生物の活用に関する情報を収集・提供するなど、家庭や地域での活動が促進されるように努めてまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。

◯北岡千はる君 御答弁ありがとうございました。
 EM菌など有用微生物の活用につきましては、鋭意研究をまた進めていただきますように、また先ほどの答弁で「家庭・地域の利用促進を図る」という御答弁をいただきましたので、ぜひともまた応援をサポートしていただきたいというふうに思っております。

平成24年農商工労働常任委員会

◯田中委員
 ブランドは、例えば、西利さんとか吉兆さんというと、大変なブランドだと思いますので、そのあたりをもっと活用できたらいいのではないかと、お話を聞いていて、そんなふうにちょっと思いました。
 それと、本当に創意工夫と御努力で付加価値を高められて、農薬を使わないとか、あるいはEM菌という有用微生物ですね、こういったものも活用されて経営をされているということで、本当に心強い思いをいたしまして、先ほどもお話ありましたけれども、多くの御心配、御懸念がある、海外から安い物が入ってきたときにどうだという御懸念がありますけれども、越江さんのような御努力をされているところは必ず生き残ると思いますし、また生き残って発展していただかなければいけないと私は思いました。
 先ほど副部長がおっしゃった中にも、子どもたちというのがあったと思いますが、大学の生協と、大学生がまた来るというのも大切ですけれども、もう少し小さい子どもたち、小学生ぐらいの子どもたちとの交流であったり、例えば生産量とか、あるいはコストとか課題あるいは教育委員会等とかいろいろあるかもしれません。例えば学校給食に活用できないかとか、子どもたちの教育の部分でも活用できないかとか、食育という言葉もあります。その辺の観点は、今いかがなのでしょうか。


  • 最終更新:2013-11-22 13:41:59

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