会津若松市


会津若松市議会とEM

【平成20年  6月 定例会】06月16日-一般質問-02号
◆斎藤基雄議員 私は日本共産党議員団の一員として、さきに通告した事項について質問いたします。
 まず、アレルギー疾患対策について伺います。ことし2月、私は昨年夏に化学物質過敏症になってしまったという方からメールをいただきました。メールには、その人でなければわからないアレルギー疾患の苦しみと、行政におけるアレルギー疾患対策の遅れ、花粉症など一部の疾患を除いてはまだまだ社会的認知度の低いアレルギー疾患の現状を訴えられました。
 最近、中国産冷凍ギョーザ事件や相次ぐ食品偽装問題などを通じて人々の食の安全に対する意識はこれまでになく高まり、スーパーの食料品売り場では表示を見ながら買い物をしている姿を多く見かけます。ところが、日用品売り場では成分を見ながら買う方は少ないのではないでしょうか。しかしながら、一般的に使われているから大丈夫だとは決して言えません。そのことは製品を製造している企業自身が一番よく知っていることであり、シャンプーや芳香剤、殺虫剤などの注意書きを見れば明らかです。また、食器や調理器具、洗剤などの安全性についても同様であります。
 去る6月10日、石綿被害救済法改定案が参議院環境委員会で全会一致で可決されました。アスベストによる健康被害がどのような経過をたどって甚大な健康被害をもたらしたのかを思い返してください。アスベストの問題は、国も企業も業界も国際機関の指摘などを通じてそれぞれが相当以前から危険性を認識していたにもかかわらず、結局は目先の利益を優先し、多くの人が被害に遭うまで安全策を講じてこなかったところにありました。私たちは、この教訓を生かさなければなりません。その生かすべき1つが、日用品の中に含まれる化学物質の有害性や経皮吸収の危険性の問題です。商品を信頼し、安全だと思って使っている日用品の中にはとんでもない健康被害をもたらすリスクが存在していることを私たちは認識すべきです。
 平成19年1月24日に開かれた第8回厚生科学審議会に提出された資料に、平成17年10月に取りまとめられたリウマチ・アレルギー対策委員会報告書があります。そこでは、アレルギー疾患患者の動向として、「平成4年度から6年度にかけて実施された厚生科学研究の全国調査によると、何らかのアレルギー疾患を有する者は、乳児28.9%、幼児39.1%、小児35.2%、成人29.1%であった。これらの結果は、我が国全人口の約3人に1人が何らかのアレルギー疾患にり患していることを示している」と述べ、国のアレルギー対策の目標としてはアレルギー疾患に関して予防、治療法を確立し、国民の安心、安全な生活の実現を図ることにあるとしつつも、従来の対策では医療面での問題、患者のQOL、クオリティー・オブ・ライフ、すなわち生活の質の低下等の問題が生じており、これらの問題の解決を図るため施策の優先目標を定め、アレルギー対策を効果的に講じる必要があり、患者のQOLの維持、向上が図られ、患者自身が疾患状態を客観的に評価する等の自己管理が必要であると取り組みの重点を述べています。報告書は、アレルギー疾患を自己管理可能な疾患にするためのポイントとして、国と地方公共団体、関係団体等との役割分担及び連携の重要性を挙げ、基本的には都道府県は適切な医療体制の確保を図るとともに、市町村と連携しつつ地域における正しい情報の普及啓発を行う必要があると、都道府県を軸とした市町村の役割を求めています。
 そこで、アレルギー疾患に対する市の取り組みについて以下に質問いたします。まず、アレルギー疾患を取り巻く現状の認識と対策及び取り組み状況についてであります。第1に、アレルギー疾患について、その原因や人口に占める発症割合など現状に対する認識をお示しください。
 第2に、近年シックハウス症候群、あるいはシックスクール症候群、また皮膚を通して毒が身体に吸収される経皮毒に関心が寄せられていますが、化学物質過敏症についてその症状や原因は何か、さらに発症割合は人口比でどのぐらいあるとされているのか、認識をお示しください。
 第3に、市においてこれまでにアレルギー疾患に関する調査を行った実績があれば内容とともにお示しください。
 第4に、市が行ってきたアレルギー疾患への対策と取り組み状況をお示しください。
 現在、花粉症に代表されるアレルギー性鼻炎あるいは食物アレルギーなどについては、広く社会的に知られています。しかし、アレルギー疾患は多種多様に存在し、社会的な認知度の低いものもあります。化学物質過敏症もその一つです。このことは、化学物質過敏症になって現に苦しんでいる人がいるにもかかわらず、その症状を引き起こす物質を社会の至るところにあふれさせている原因になっています。化学物質過敏症の方は、それぞれご自宅においては原因物質を含む日用品を使用しないなどの対策をとっておられます。しかし、一歩外に出るとそうはいきません。市民の関心度、認知度を上げることが必要です。特に多くの人々が出入りする公共施設、旅館やホテル、飲食店、交通機関などでの対応があれば効果的と思われます。
 そこで、他の地方自治体での取り組み例を幾つか紹介したいと思います。愛媛県宇和島市では、環境に対する取り組みとして、1つに環境に優しい石けんの使用を推進するための市民向け啓発活動、2つに宇和島市庁舎等石けん使用実施要領を制定し、庁舎内での石けん使用の推進、3つにEM菌の無料配布などに取り組んでいます。
 また、佐賀県佐賀市では、1つに公共施設でのシックハウス対策として公共施設の新築、増築の際にシックハウス対策を実施、2つに公共施設等での薬剤散布対策として市が管理する公園での機械除草の実施、定期防除の廃止、公園、街路樹等の樹木を消毒する場合に事前及び事後告知の実施、3つに学校等での室内化学物質の濃度測定として平成15年度に幼・少年対象施設及び新・増築後5年未満の施設を対象とした測定を実施したほか、平成19年には市民の健康被害を減らすための指針として化学物質の使用に関するガイドライン(佐賀市版)を作成し、その具体的な取り組みとして化学物質対策3カ条、すなわち第1条、安易に薬剤等を使わない、第2条、新たな発生源を持ち込まない、つくらない、第3条、あるものは減らしていくを作成し、化学物質による健康被害を少なくするための取り組みを促す行動指針としているそうであります。また、佐賀市庁舎や支所のトイレや施設全般の清掃では、化学物質過敏症を引き起こす可能性のあるものを使わないようにするために、基本的な清掃は水のみを使用した水ぶき清掃とし、衛生管理や維持保全上どうしても洗浄剤等の使用を必要とする場合は、使用剤の成分確認や作業内容の表示、作業後の換気を十分行うなど、市民や職員の健康被害の抑制と施設管理の両面に配慮しているとのことです。
 また、兵庫県川西市教育委員会では、学校のトイレが臭いと訴える子供たちの声にEM菌を活用したトイレ清掃を1年間試験的に実施して効果を確認し、平成17年度から市内の小中養護学校と幼稚園にEM活性液培養タンクを一斉に導入したとのことです。これによって子供たちは自分たちが培養するEM活性液でトイレやプール清掃を行い、環境意識を高めているそうであります。また、このEM使用は経費面での効果も上げているようで、平成17年度のトイレとプール清掃に関する経費を算出すると、EM使用以前と以後では160万円からの経費節減になったとのことです。しかも、当該年度の経費にはEM培養装置の設置費が全校分で265万円計上されていて、これが翌年度からはゼロになったことから節減効果はさらに大きくなったそうであります。
 また、岐阜県岐阜市や大阪府阪南市では、化学物質過敏症やぜんそくを持っておられる方への配慮として、香水や整髪料など香料自粛の呼びかけポスターを庁舎や病院、学校、公共ホールなど公共施設に一斉に張り出し、効果を上げるとともに市民からも歓迎されているそうであります。
 これらの先進的事例を踏まえ、アレルギー疾患対策の課題と今後の取り組みについて以下に質問します。第1に、佐賀市で取り組んでいるように、市民の関心のじゃっ起と啓発のために庁舎及び公共施設等において化学物質による健康被害を少なくするための取り組みを促す行動指針の策定を検討すべきではないでしょうか。見解をお示しください。
 第2に、岐阜市や阪南市のように、香料自粛の呼びかけをすることを検討すべきではないでしょうか。香料は個人の好みではあります。しかし、少量の香料でもアレルギーを引き起こしたり、化学物質過敏症になる人も多くいます。そして、一たん過敏になると他の物質にも敏感に反応するという傾向もあります。そうした方々への配慮は行政が率先して行うべきと考えますが、見解をお示しください。
 次に、小規模修繕契約希望者登録制度についてお伺いいたします。本制度は、平成17年2月に工事入札参加資格を持たない市内の中小、零細事業者を対象に契約金額10万円未満を上限としてスタートし、昨年には契約金額が20万円に引き上げられました。しかし、制度の活用状況は、制度創設の目的に照らしても決して十分ではない現状にあります。県内で最も早くこの制度をスタートさせた福島市など、県内の多くの自治体では契約額上限を50万円としています。事業実績も多くのところが本市を上回っており、登録している業者は小さな仕事ではあっても市の仕事を行えることで納税意欲もわいてくるという話も聞かれます。
 本市では、入札参加資格を持っている業者を対象に50万円以下の工事を発注する少額工事請負契約制度が別にあるため、契約額上限を引き上げても小規模修繕の請負額はあまり上がらないという結果になっています。これではせっかくよい制度があっても、業者が積極的に参加するということにはなりません。また、修繕と工事の違いがどこにあるのか、その基準も決して明確ではありません。本市で事業を行う業者に市が発注する仕事がより公平に渡るような仕組みづくりをするべきです。
 本市の財政状況においては、既存施設を修理しながら長く使っていくことも大事な課題です。大きな新規事業を行うよりも、民間の空き店舗などを市が借り受けることも含めて必要な施設を確保する考えも必要です。それらを通じて全体として小規模修繕の発注件数と金額を大きく増やすことができれば、本市の活性化にも大きくつながるのではないでしょうか。
 そこで以下に質問します。まず、制度活用の現状と評価について、第1に本制度の創設からの実績をお示しください。
 第2に、本制度がより市民に活用されるよう昨年契約額上限の引き上げが行われましたが、その効果についての分析と評価をお聞かせください。
 次に、本制度を有効活用するための課題について伺います。第1に、本制度の活用は数量的に多いとは言えない状況にあります。その理由としてどのようなことが考えられるか、制度の有効活用の課題とともにお示しください。
 第2に、先ほども述べましたように、本制度とは別に市では少額工事請負契約制度を実施していますが、修繕と工事はどのように定義づけされているのか2つの制度との関係で違いを示すとともに、この2つの制度を統合してより有効に活用されるよう改善を図ることについての見解をお示しください。
 以上お伺いし、私の壇上よりの質問を終わります。(拍手)

◎市長(菅家一郎) 斎藤基雄議員のご質問にお答えをいたします。
 小規模修繕希望者登録制度についてであります。まず、本制度の活用数量が現在の状況にある理由についてであります。本制度はもともと契約金額が少なく、簡易な業務に限って活用する制度であること、さらには修繕という業務の性質上、数量的にも限りがあるものと考えております。このため、本制度を有効活用するためには対象となる業務を的確に把握し、活用していくことが肝要であると考えておりますことから、引き続き庁内各課に対して取り扱いに関する周知徹底を図ってまいりたいと考えております。また、本制度の運用に際しましては一定程度登録業者数を確保することが必要でありますことから、今後も登録業者の拡大に向け、制度の内容等について広くPRしてまいりたいと考えております。
 なお、その他のご質問については、教育長及び主管者からお答え申し上げます。

◎健康福祉部長(小檜山澄雄) お答えいたします。
 初めに、アレルギー疾患の現状に対する認識についてであります。アレルギーを引き起こす原因物質については、ほこり、ダニ、花粉、食べ物などがありますが、原因は完全には明らかにされておらず、国において研究を重ねているところであります。アレルギー疾患は、アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、花粉症、食物アレルギーなどが挙げられ、国民の約30%に上ると言われており、増加傾向にあると認識しております。
 次に、化学物質過敏症の原因や発症割合に対する認識であります。症状については、粘膜刺激症状、皮膚炎、気管支炎等多岐にわたる症状が同時または交互に出現すると言われております。原因としては、微量化学物質に反応し、発症するとされておりますが、未解明な部分が多く、国において研究を進めているところであります。発症割合についても、国における医学的知見は出されておりませんが、アレルギー疾患同様今後も発症する方の増加が懸念されます。
 次に、アレルギー疾患に関する調査であります。市の乳幼児健診においてアレルギー疾患治療状況調査を実施しており、平成19年度健診受診者におけるアレルギー治療中の割合は、4カ月児で2.1%、1歳6カ月児で4.5%、3歳6カ月児で4.8%となっており、年度ごとに増減はあるものの、微増傾向となっております。
 次に、市が行ってきたアレルギー疾患への対策と今後の取り組みについてであります。健康づくり分野の対策として、国がアレルギー疾患患者の生活の質の向上を目指し、平成17年度に策定した指針において、情報提供と一般的な相談の実施を市町村の役割と位置づけていることから、アレルギー相談センターなどの相談窓口の周知、乳幼児健診会場へのアレルギーに関するパンフレットの配置などの情報提供や医師による診察、保健師、栄養士による個別支援の実施及びアレルギー症状がある方への適正受診を勧めてきたところであり、今後も国の対策指針に沿った情報提供等に取り組んでまいります。また、公共施設整備等の際には、関係法令において定められている技術的基準に基づき、有害化学物質を含む建材の使用制限、必要に応じた室内濃度測定等の対策を実施しているところであり、今後予定される施設整備におきましてもシックハウス等の対策に配慮した対応を進めてまいります。
 次に、化学物質による健康被害を少なくするための行動指針の策定についてであります。アレルギー化学物質過敏症の仕組み等については未解明な部分が多く、その要因も多様であり、対応は多岐にわたるものと考えております。庁舎及び公共施設等における指針等の策定につきましては、徹底した情報収集、関連機関の動向、各施設の現状等総合的な判断が必要となることから、それぞれの関係部署が連携をとり、利用者の立場に立った対応について検討してまいります。
 次に、香料自粛の呼びかけにつきましては、香料の種類、含まれる成分も多種多様であることから、今後とも情報収集等に努めてまいります。

◎教育長(星憲隆) お答えいたします。
 本市の市立小中学校のアレルギー疾患調査につきましては、近藤信行議員にお答えしたとおりであります。
 以上でございます。

  • 最終更新:2013-11-22 05:42:32

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