兵庫県

兵庫県議会とEM

昭和63年度予算特別委員会

池上商工部次長

 播磨科学・公園都市への誘致すべき業種として、ニューセラミックスとかメカトロニクスという高技術機械産業、もう一つは、バイオテクノロジーとかEM機器システムといった医療福祉産業の中から、将来性の期待できる優良企業を約200社について選定して、設備投資動向あるいは新分野の参入動向等について委託調査をお願いしている。

平成 5年 第229回定例会

小山久男君

 しかしながら、農業といえども産業である限り、高品質、高生産性による競争力の維持、増大を図っていく努力が大前提であります。もちろん、昨年発表された国の新政策とその具体化を検討して、この1月に報告された農政審議会の中間取りまとめや、昨年7月策定の県の「2001年農林水産業振興計画の重点方策」には、競争力確保のための農業構造と経営の改善策が提示されております。我が兵庫農業の労働、土地及び資本に対する生産性は、平成2年度で全国平均の59%ないし86%であり、農家1戸当たりの農業所得も全国比42%と低く、その改善は大変厳しい現状と認識します。低生産性の主因は、全国比の47%しかない1戸当たり耕地面積であり、兵庫の平均は65アールという零細農業経営となっております。
 この現状を打開するためには、集落段階での効率的経営体の形成と経営体への農地の集積がかぎでありますが、市町、農業委員会、土地改良区、農協、農業者の一致協力した取り組みが最も重要であります。また、需要動向に合った高品質、低コストの作物の生産が重要であります。県下でも、有用微生物と早期田植えを組み合わせた米の新栽培法を導入して、おいしくて、安全で、安いコシヒカリを従前の約2倍の単収で収穫することに成功している事例もあり、将来は4倍増の可能性もあると言われております。
 市場原理に沿った生産者の自主的な生産性の向上と社会的な構造改革をいかに結合しつつ、もうかる農業づくりを進めていくのか、さらに、日本の縮図と言われる兵庫の地域性を生かした農業の生産性向上にどう取り組むのか、米づくりを中心にご所見をお伺いいたします。

平成 6年度予算特別委員会

杉尾良文委員

 続いて、有機農業を進めるに当たって、生産農家への技術的支援について伺いたい。
 生産農家がこれまで化学肥料による施肥技術や農薬による防除が安定生産、高品質、高生産農業に果してきた役割が大変大きいだけに、農家に減肥・減農薬への理解を求めなければならない。特に私の地元西区でも、昨年、冷害で大凶作になった稲作でも、平均反収の5割増しの高収量を達成したのはこの有機農業であったということを聞いているし、また、その半面、先ほどの家畜農家でのふん尿施設から出る堆肥の使用状況を見てみると、どうしてもそのバランスがとれてない、なかなか使用状況がわからないというのか、生かせないという現象も出てきている。
 そうした中で、農家が農産物の生産に意欲を持って取り組めるように、きめ細かな施策や具体的な栽培技術を確立するための技術的な支援が必要であると考えるが、どのような支援が行われているのか伺いたい。

大木普及教育課長

 有機農業の生産安定を図るために、既存の研究成果や先駆者による実証事例等を集約した栽培手引書として「有機栽培マニュアル」を作成し、技術の普及に努めているところである。県下各地域において、このマニュアルをもとに、さらに創意工夫を凝らして地域の実態に合った栽培技術の確立が図られるよう指導している。
 さらに、新しい技術開発や生産技術の高度化を図るために、県立中央農業技術センターにおいて、生態系を活用した有用微生物を利用する土づくり、天敵利用等による病害虫の制御技術など、その体系化に積極的に取り組んでいるところである。

平成11年度決算特別委員会

中村茂委員

 まず、農業における新技術の開発についてである。
 小笠原 裕氏は著書で、「日本の農業にあすはない。現実に日本農業は危機に直面している。それらを踏まえて種々施策が展開されているが、決定的な対策がなされていない。評論的な政策と断言してはばからない」と述べている。小笠原氏は後書きに、「農業は朝から晩まで働く。もっと楽な生活をしたい、サラリーマンにあこがれる。日本農業を守れと叫ぶ人があれば、自分で農業をやったらよい」と結んでいる。
 そこで、魅力のある農業とは、超近代的な農業経営に脱皮することではないか。某評論家は、「21世紀初頭には新技術が驚異的に高度成長を遂げるだろう。情報通信、電子工学や次世代の超高速旅客機、燃料電池自動車が続くとされている。そこで、農業を変える事柄として、遺伝子を握るものが世界を支配する」と述べている。
 遺伝子組みかえでは、人工的に遺伝子を組みかえるため、種の壁を乗り越えて他の生物に遺伝子を導入することができ、農作物等の改良の範囲を大幅に拡大できたり、改良の期間が短縮できたりするので、高品質で高栄養価の農畜産物をつくったり、除草剤や害虫に強い遺伝子を持つものをつくることができる。遺伝子組みかえ技術は、現段階では食品への利用は問題があるが、食品ではない花木、植木への遺伝子組みかえの技術の利用は、国産農林水産業研究センターの研究により、安全性は問題ないとされており、例えば、花木栽培の盛んな本県において遺伝子組みかえ技術を導入していくことも考えられる。
 また他にも安全性の高い微生物農薬やバイオ技術を利用した新品種の育成、クローン技術の応用など21世紀の農業にとって、新しい有望な技術が研究されている。
 県は、こうした新しい技術を積極的に導入し、近代的経営を支援していく必要があるのではないかと思う。県のこうした新しい技術開発に向けた取り組みについて伺いたい。

川上企画調整局課長

 本県農林水産業の振興のためには、生産者、消費者のニーズに直結し、しかも、安全、公共性などに重点を置いた新しい技術の開発は、必要不可欠な課題であると認識している。
 こうした考え方を踏まえこれまでも、例えば、バイオ関係技術の開発においては中央農業技術センターを中心に、組織培養によるストレプトカーパスの大量増殖法の開発や菊、フキ等の無病苗の作出、また、微生物農薬の開発においては、トマトの青枯れ病等防除技術の実用開発等に成果を上げている。
 また、遺伝子組みかえ技術やクローン技術については、これまでカーネーションのウイルス抵抗性品種の作出や優良但馬牛の凍結胚を用いた受精卵クローン牛の作出等の開発に取り組み、技術の蓄積に努めている。
 なお、消費者に必ずしも受け入れられていない遺伝子組みかえの技術の利用については、将来の消費者の動向を見据えながら対応したいと考えている。いずれにしても、今後とも生産者、消費者のニーズを踏まえ、国の研究機関や大学等と連携しつつ、安全性の高い微生物農薬やバイオ技術を利用した本県特産農産物の新品種の育成など、新しい技術開発に積極的に取り組み、本県農林水産業の活性化に努めたいと考えている。

中村茂委員

 中央農業技術センターは、東洋ではトップクラスであり、随分研究を進めていただいているが、琉球大学比嘉教授の「甦る未来」を買って読むと、有用微生物のEM農法は、種をまけば収獲するまで、遺伝子作物のような栽培で一切農薬も要らない、肥料も要らないということを書かれていた。1999年に北朝鮮の水田100ヘクタールで行われ、収獲は大体倍ぐらいになるようであり、一切手は要らないということである。そんないいものをなぜ本県や日本が採用しないのか。農林水産省は余り乗り気ではないそうである。一度確認したいと思いJAたじまの香住支所の営農担当に電話したところ、驚くことなかれ一部のグループがこれを使っているということであった。しかし、農薬はまだ少しは要るそうであるが、実際に農家がこういうものを活用して農業経営をしようとしているので、行政はもっと前に進んでやっていただきたい。超近代的な農業経営をやるようにぜひひとつご支援、ご指導をいただきたいと思っている。

平成15年 第274回定例会

知事(井戸敏三)

 次に、都市住民が自然とのふれあいの中で食とのかかわりを深める新しいライフスタイルとして、「楽農生活」を創造します。
 土に親しみ旬の野菜を味わいたいという県民ニーズにこたえるため、「ひょうご県民農園」の整備を進めるとともに、地元農家等の指導のもと親子で参加する農業体験学習を実施し、「兵庫みどり公社」による遊休農地の有効活用とあわせ、「市民農園面積倍増作戦」を強力に推進します。
 「ガーデンビレッジ構想」については、淡路景観園芸学校のノウハウも生かしながら、ガーデニングフェアや産業交流セミナー等の先行事業を展開します。
 このほか、消費者と生産者を結ぶ農産物直売所の設置支援や有用微生物の効果等の実証試験、但馬沖における深層水利用調査を実施するなど、自然産業としての農林水産業の振興に努めます。

平成15年度予算特別委員会

内藤道成委員

 有機栽培には、これは絶対欠かせられない不可欠な問題である。個々の堆肥舎よりも、そういう堆肥舎の堆肥を1ヵ所に集めた大きな堆肥センター、私は、こういうものが必要になってくると思う。そうすることによって有機農業栽培ができると思っているので、そのような大きな取り組みであるが、お力を入れていただきたい、このように思う。
 次に、最後の質問は、土づくりなどに大きな効果があると言われているEM菌、実は、このEM菌は、私も家でずっと試験をしながら使っている。これは効果がある。このEM菌の検証・普及について質問をする。
 今、EM菌が注目されている。EM菌とは、人間が生きていく上で役に立つ微生物、微生物というのはたくさんあるわけで、何万とあるが、その中から悪玉と善玉とを分けて、表現を変えれば善玉を集めたのがEM菌、その微生物を集めているが、その効果は既に存在する土の中などの微生物を活性化させ、病気に強く、育ちのよい農産物をつくるとされている。
 農業の基本の土づくり、長年の連作や化学肥料により病みつつある土を、堆肥に加え、微生物の活用などにより再生させることが、ブランド化の基本、基盤、そのものであると考える。確かに生ごみなんか、みんな出す。ぬかでしたEM菌のボカシというのがあるが、あれをかけてまぜると、臭いにおいは一切しない。それをまた畑に移して土を活性化させるが、もうすごい効力がある。
 残念ながら、EM菌の効果については、確かな試験データがまだないように聞いているが、私は自信を持っている。自分が使い、花なんかでも、ちょっとしおれた花の根元にかけてやるとすぐ立つ。人間もそれを飲むことができる。飲むEM菌もある。それはあれだけ立ったらよろしい。すばらしい。本当にしおれている花が生き生きと、しゃんと立つ。
 そこで、ブランド化の基盤整備の一環として、このEM菌を新たな兵庫県の土づくりのために検証してはどうか、このように考えているが、ご所見をお伺いする。

佐藤農産園芸課長

 安全・安心な農産物の安定生産のためには土づくりが基本であり、県では、堆肥の適正施用等を推進している。
 このような中、効果があるとしてEM菌等を用いた「ボカシ肥料」等を使った有機栽培の取り組みであるとか、例えば、加美町の婦人会では、生ごみの堆肥化などが行われると聞いているが、一方では、日本土壌肥料学会は、微生物資材としてのEM菌の有効性は証明されていないという見解を出しておられる。こういうことで、現在、EM菌について評価が分かれている。
 県でも、平成7年度から3年間、野菜の生育に及ぼす影響等について試験をしたが、特段の効果が認められなかったという結果が出ている。しかし、同時に実施をした、実際に使っておられる利用農家の49戸をアンケート調査をした結果、67%の方が「効果がある。引き続き使用したい」という結果が出ている。また、新たな課題となっている食品残渣等の減量化や資源化に向け、EM菌等を活用した事例もあり、技術的な検討が必要になっていると考えている。
 このため、現在、EM菌等を用いておられる農家全体の利用実態を調査しており、今後、この調査の結果に基づき、農林水産技術総合センターを軸にして詳細な現地調査等を行い、EM菌等の効果に対する、このような評価の違いがどこにその原因があるのか、そのことについて解明ができたらと考えている。あわせて、新たに食品残渣の堆肥化等の効果、これの確認と検証を行ってまいりたいと考えている。

内藤道成委員

 課題として、積極的に研究に取り組んでいただきたい。このことをお願い申し上げて、以上で終わる。

平成15年度決算特別委員会

小林護委員

 第3番目は、県民交流広場事業の推進についてである。
 県では、法人県民税の超過課税を活用した事業として、平成12年から「スポーツクラブ21ひょうご」事業に取り組むとともに、平成16年度からは県民交流広場事業のモデル事業に取り組まれている。
 県民交流広場事業の目的は、地域活動の広がりや新たな担い手づくりを応援することにより、コミュニティの再生・構築をめざすもので、本年度のモデル事業では、おおむね小学校区のエリアで、整備費には1,000万円、活動費には必要に応じて300万円を上限に助成されるということであり、県民局ごとにおおむね1地域で実施し、モデル事業の成果や課題を明らかにし、検証した上で、平成17年度以降に本格実施をされようとしている。
 この事業は、地域住民が主体的に取り組む活動に助成する事業であることから、地元市町に対して、このような趣旨で実施するので、アイデア提供など地域への支援や各市町ごとの進め方を検討してほしいと依頼をし、それを県は支援するといった体制を明確にするとともに、地域で本当に必要なことができるような取り組みであってほしいというふうに思っている。
 また、小学校区では、既に活動拠点の施設が整備されているところが多いのではないかというふうに思うので、整備費は最小限に抑え、むしろその分を活動費に充てるような対応、整備費と活動費の枠を外して総枠方式にして、地域の必要性、緊急性、重要性に合わせて事業を認めるような方式も必要ではないかと考えている。
 法人県民税の超過課税という貴重な財源を有効に活用していく必要があるということは言うまでもない。先ほど、答弁の中で知事がおっしゃっていたように、弾力的に柔軟に展開するということを言っておられたが、県民交流広場事業については、地元の意見を十分に反映し、事業内容が十分精査され、地元事情に合致した多種多様なアイデアが取り入れられたユニークな、そして、上からの押しつけでない企画・提案が検討され、実現されていくような取り組みが必要と考えるが、当局のご意見をお伺いしたいと思う。

井筒県民政策部長

 県民交流広場事業は、参画と協働により、よりよい地域づくり、これをめざして、日々の暮らしの中での生活学習あるいは実践活動、こういった場づくりを支援をしていこうというものである。
 本格実施に先立つことしのモデル事業の実施に当たっては、各県民局のブロックごとに、全市町との意見交換会、またコミュニティ関連の施設や施策の実態調査、そしてニーズの把握などを行った上で、五つの基本的なタイプということで提示させていただいた。そして、県民局単位で募集をさせていただき、応募グループの企画・提案を生かしながら、例えば、北播磨地域では、八千代町で地域ふれあいキッチン・工房ということで、Iターンの交流であるとか、あるいは特産品、スローフード、さらにはEM菌活用による環境保全、こういった取り組みがなされている。但馬県民局で2地区になっているが、あとの県民局は1地区、合計11事業であるが、いずれも地域の実情に応じた取り組みが提案されたのではないかと考えている。
 もとより、それぞれの地域が抱える課題というのはさまざまであるし、また、解決への取り組み、これもいろんなやり方があるというふうに思うので、今後、モデル事業を展開していく中で、例えば、同一学校区での複数の設置あるいは複数校区単位での整備、さらには、ご指摘もあった整備費と活動費、この配分割合のあり方をどうしていくのがいいのか、こういったことについて幅広く検討をしながら、本格実施につなげていきたいというふうに思っている。
 また、具体的な推進に当たっては、各地域での主体的な取り組みを支援をするということであるので、市あるいは町、そして県民局ごとに推進委員会の組織を設け、連携を図りながら、効果的な事業展開ということで、弾力的・柔軟に対応していきたいというふうに考えている。


  • 最終更新:2013-11-24 14:54:42

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