千葉県

千葉県議会とEM

平成6年6月定例会
◯栗山栄子君

 次に、手賀沼浄化対策についてお伺いをいたします。
 十九年間続いております汚染度ワースト・ワンの汚名をいつになったら返上することができるのか、汚染度の発表がなされるたびにやりきれない無力感に駆られております。今まで先輩の議員の皆さんから浄化の効果を上げております先進地の事例による提言もなされ、環境部もそれにこたえて汚泥のしゅんせつに始まり、礫間浄化施設、ホテイアオイの植栽、曝気装置による酸素を取り入れる施設、合併浄化槽設置の推進等々、種々浄化対策事業に取り組まれてきておりますが、それら個々の事業の効果を事業費と整合させて検証してみる必要があるのではないかと思います。
 そこで質問の第一点は、これまで実施してきた浄化事業の効果はどうなのか。今後はどのような対策を重点に浄化事業を進められるのかお尋ねをいたします。
 そして、これからの浄化対策の一つとして、有用微生物群EMを使う浄化方法について御検討いただきたく御要望申し上げておきます。
 水質浄化だけでなく、生ごみの処理や土壌の改良にも有効で、コンポストよりもきれいで効果があるという市民の声で、我孫子市ではEM菌による生ごみの処理を進めております。


平成6年9月定例会
◯加賀谷 健君

 次に、有用微生物群についてお伺いいたします。
 今、日本の農業は、農薬と化学肥料の大量投与による環境汚染と地力の低下、地下水汚染、さらには消費者や農業従事者の健康問題など多くの問題を抱えております。人口増という過去の歴史的な背景から見れば、自然任せの農業には生産性に問題があり、農薬や化学肥料に頼らなければ需要に見合う供給が果たせなかったわけであります。しかし、農薬や化学肥料の誤った使い方や過剰な投入が、人間の健康や環境に破壊的に作用することは動かしがたい事実であります。薬剤抵抗性の問題から法的に禁止されている農薬がひそかに輸入され、使われていることも知る人ぞ知るという状況であります。最近では無農薬、有機農法による農業を実行している農家もふえておりますが、生産性が悪い、コストがかかる等の問題が解決できておりません。
 また、牛や豚や鶏等を飼育している畜産農家では、その悪臭が地域住民とのトラブルの種となっておりますし、ふん尿は河川や地下水の大きな汚染源になっております。もちろん高価なふん尿処理施設による処理はしているのですが、処理途中の強烈な悪臭やハエの大量発生、処理の結果出てくる汚泥や厩肥の処分を思うようにできず、たまる一方になってしまい、解決の糸口すら見つからない状況です。最終的には台風等の大雨のときに河川へ流れてしまう──流してしまうのでなくて流れてしまうといったことも一部であると聞いております。さらに、過密飼育による環境悪化で病気にかかりやすいため、消毒や抗生物質を初めとする薬の大量投与による肉質の問題や、それを食べる人間の健康問題にも影響が出てきております。畜産農家の負担する薬品類の使用料も経営を圧迫しております。
 こうしたさまざまな、かつ解決不可能と思われる問題を劇的に、しかも安価に解決できる画期的な新技術が最近話題になっております。あるいは御承知の方もいらっしゃると思いますが、有用微生物群、英語ではイフェクティブ・マイクロオーガニズム、略してEMと称するものであります。これは五科十属八十余種の微生物をタンク培養した液状のもので、財団法人地球環境財団の理事長である比嘉照夫琉球大学教授の考案によるものであります。専門的なことは私もよくわかりませんが、その成果が各地から報告をされております。
 例えば昨年、米どころの東北の一般農家では、冷夏の被害によって十アール当たり一・五から二俵しかとれなかったのが、この技術を活用した農家では十俵を超えたと言います。平年の実験では二十七・六俵という数字が出ているそうであります。しかも農薬や化学肥料は使用しておりませんし、この技術を活用した土壌改良によるものであります。そのほか野菜、果樹、花等についての収穫量の増大、糖度の上昇など、また農薬や化学肥料を使用しないことによる農家の健康上、あるいは食品の安全上からもよい結果が報告をされております。コスト的にも、現在使用している生産費よりも大幅に少ない金額での生産が可能となっていると報告されております。また畜産農家では、今までの活性汚泥法と異なりまして汚泥も発生しませんし、先ほど申し上げましたふん尿に基づくさまざまな問題や抗生物質等薬剤の問題、コストの問題が一挙に解決し、肉質の上昇や、今までより投資する金額が大幅に減少したと言われております。
 この新しい画期的な技術については文献やデータはありません。現場での奇跡的な結果が無数にあるだけであります。
 日本では机上の理論が重視され、こうした新しい技術などは、どんなに実績があっても前例がないとか、法律ではこうなっているとかいって、試験的に採用してみることさえほとんどない状況であります。現在、この農法については、韓国、台湾、中国を初めアジアの国々で国策として、また、アメリカを初めフランス、ドイツなどのヨーロッパでも農法、環境対策とが進んでおりますし、ブラジルでは世界一この技術の使用量が多く、中南米、東欧でも取り組んでいると聞いております。
 そこでお伺いいたします。この新しい画期的な技術は、今申し上げた例のほかさまざまな問題解決に使用することができるものでありますが、この技術についてどのように考えているのか。県の農業試験場でも実験をしたという話も聞いておりますので、その話等をお聞かせ願えればと思っております。

◯説明者(古幡 浩君)

◯説明者(古幡 浩君)有用微生物群(EM)の利用技術についての御質問にお答えいたします。
 この技術についてどのように考えているのかということでございますが、県では品質がよく、安全性の高い農産物の安定供給や、環境と調和した技術開発に努めているところであります。EM菌などの土壌改良資材につきましては、平成四年度農業試験場で芝草を用いまして、その代表的な病気であるブラウンバッチの抑制効果を検討しました結果、顕著な効果は認められませんでしたが、県内でも少数の利用者がありまして、稲作などに効果があったという事例も聞いております。しかしながら、この種の土壌改良資材は製造方法、菌の種類、改良効果など不明な点が多く、国の機関にも試験結果等がございませんので、普及するべき技術として評価できる状況にはないところであります。したがいまして、今後は国などの試験研究機関と連携を図りながら対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

  • 最終更新:2013-11-18 19:42:39

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