半田市(2)

半田市議会とEM(2)


平成26年  6月 定例会(第3回)-06月18日-02号
◆ 13番(中村宗雄議員)
 主題2、半田市の環境施策と環境教育について。
 最近、新聞紙上や報道番組でも、スタップ細胞、理研、小保方さん、若山教授、これらのキーワードを非常に多く見ることができます。これらは、医療のためにも誰もが存在してほしいというスタップ細胞に対する期待と、それを科学的に立証できないという現実とのギャップがあると私は思います。世の中には、期待と現実がぶつかり合うこと、ギャップがあることはそう珍しくありません。例えば何とかダイエットですとか何とか健康法、これらもその意味では同じ類いかもしれません。
 最近、海の日が近づくと、日本各地でEMだんごを河川に投げ込むという環境保全活動が盛んに行われております。EMだんごというのは、このようなテニスボール大のだんごでありますが、つくり方としては、土にEMのぼかしやパウダーを混ぜて、EMの活性液を入れて練り合わせ、そして手でこのように丸めまして、それを陰干しにして、固まって白カビが生えたら完成と。これは白カビが生えていませんけど、白カビが生えたら完成。そして、河川にどんどん泥だんごを投げ込むわけですね。大体1平米につき1個ぐらいの割合で投げるのが適当だということだそうです。これをやると河川がきれいになるという環境保全活動、そういうことになっております。
 私は、大前提として、EMだんごを含めた環境保全活動をされている方たちの純粋な思いや活動を否定するつもりは全くありません。しかし、現実的には、インターネットでEMと検索すると、その評価は真っ二つに分かれます。よいとする評価は、河川の浄化だけではなく、農業や福島の被災地の放射能の除染、家畜のふん尿の臭気対策にも有効、直接飲むとがんも治ってしまうとか。悪いとする評価では、科学的根拠がない、営利目的、宗教団体との絡みがある、さまざまそのようなことが書いてあります。そのような夢のようなEM菌というものが存在してほしいという思いと、これはスタップ細胞とよく似ているような気がします。
 私はこの質問を機会に、半田市がこの夢のようなEM菌というものを、環境施策のどの位置に位置づけ、そして、子供たちの環境教育のためにどのように位置づけているのか、それを明確にするために質問させていただきます。
 要旨1、半田市の環境施策について。
 半田市環境基本計画後期分では、河川の水の汚れの指標となるBODの値が、市内5河川でほぼ横ばい、また、悪化の傾向にあるとありますが、その原因についてはどのようにお考えですか。
 質問2、半田市として、市民団体の方が河川の環境保全活動の一環で行っていただいているEM菌、EMだんごの河川の放流については、どのような評価と支援を行っていますか。評価については、評価するしないの二者選択で、選択理由は科学的根拠を照らし合わせて、支援については、具体的にいつ何を支援したかをお答えください。
 質問3、愛知県環境部は、EM菌による河川浄化の科学的根拠がないことや、EMの大量投入が水質汚濁を引き起こすおそれがあることから、EM菌の河川への大量投入は望ましくないとしておりますが、半田市としてのお考えはいかがでしょうか。
 要旨2、半田市の環境教育について。
 この映像、ある奉仕団体がEM菌を、EMの溶液ですね、子供たちを使ってプールに入れている様子です。
 そこで質問させていただきます。
 質問1、半田市内の小・中学校においても、EM菌をプールに入れておりますか。入れているならば、小・中学校、何校中何校が入れているかもあわせてお答えを下さい。
 質問2、もしEM菌をプールに既に入れている、また、今後入れる予定があるならば、それは何を目的に、どんな科学根拠で行っていますか。
 質問3、半田市は子供たちへの環境保全活動、環境教育の中で、EM菌の効果、効能について、どのように教えておりますか。
 以上、答えにくい質問ばかりではございますが、明確な答弁を期待し、壇上での質問を終わらせていただきます。

◎ 環境監(折戸富和君)
 次に、御質問の2点目、市民団体が行っている河川へのEM菌の投入についての評価と支援につきましては、川をきれいにしたいとの思いで熱心に取り組んでおられる市民活動には大変感謝いたしており、その方法については、各団体の自主性を尊重しております。
 御質問にあるEM菌とは、自然農法や環境浄化を目的に利用されている有機微生物群のことであります。EM菌やEMだんごを河川に投入することに関しましては、各地で行われている活動において、川底のヘドロが減り悪臭が軽減した、水のよどみがなくなり魚がふえたなどの事例を聞きますが、一方、効果が科学的に検証されていないことから、現時点で、市としてその是非を判断することはできないと考えております。
 また、支援としましては、稗田川の浄化を目的に取り組みを始められる市民団体に対し、平成26年度の市民活動初動支援助成金の交付決定を行っています。会の事業内容では、川岸の清掃のほか、水質浄化の一方策としてEM菌の投入も予定されていますが、他の浄化方法もあわせて実施し、効果を見ながら活動を進める計画となっています。
 次に、御質問の3点目、科学的根拠と大量投入に対する市の考えでありますが、EM菌による河川浄化の科学的根拠につきましては、国や県においても実証がされていないことは承知しているところであります。また、大量投入につきましては、極端な水質の変化につながる可能性がありますので、市としましても望ましくないと考えております。
 なお、市内で行われている活動においては、水量に応じて投入量を調整しているとのことであり、悪い影響が出たという事例も確認されていないことから、問題はないと認識をしています。

◎ 教育部長(小坂和正君)
 御質問の1点目、半田市内の小・中学校においてもEM菌をプールに入れているかにつきましては、平成25年度には、小学校では13校中11校で、中学校では5校中3校でEM菌を投入いたしました。
 御質問の2点目、それはどんな根拠で、何を目的に行っているのかについてです。
 根拠といたしましては、EM菌によってプール清掃の負担が軽減されたという他市の事例を聞いた市内の小学校が試験的に実施したところ、実際に水の汚れや藻の発生が少なくなったという経験に基づくものであり、プール開始前の清掃の負担軽減を目的とした清掃道具の1つとして活用いたしております。
 御質問の3点目、子供たちへの環境保全活動、環境教育の中で、EM菌の効果、効能についてどのように教えているかにつきましては、市としてEM菌の効果、効能を教えるということはしていません。しかし、学校によっては、プール清掃での実体験をもとに、水の汚れや藻の発生が少なくなったことなどを、総合的な学習の時間やプールの清掃活動のときなどに話をしています。また、地域によっては、EM菌を使った河川の浄化活動に子供たちは参加しています。
 御質問者がおっしゃるように、EM菌による河川浄化の効果などは、科学的に立証されているものではなく、現状では、半田市として教育に取り入れる予定はございません。しかし、清掃時における負担軽減の道具としては今後も活用していくとともに、地域活動として行われる行事であれば、これまでどおり参加していきたいと考えています。
 以上で中村宗雄議員の御質問に対する答弁とさせていただきます。

◆13番(中村宗雄議員) ということは、半田市の考え方としては、科学的根拠はなくたって、動機が正しければオーケー、そういう考え方なのかなということを思ったんですけれども、環境基本計画とかつくっている半田の環境審議会ですとか環境基本計画の策定委員会、千頭委員長もいると思うんですが、ああいう方たちというのは、あの会議体の中で、これをどういうふうに取り扱っているんですか。要するに議題にも上がらない程度のことなのか、一応審議会やその中では一定の方向性が、合意が得られているのか、その辺どうなんでしょうか。

◎環境監(折戸富和君) 審議会等では議題にも上がっていない状況でございます。ですから、一度もEM菌については、環境審のほうで議論されたことはございません。

◆13番(中村宗雄議員) 科学的に効能がはっきりしているものならば、別にこんなところで一々審議する必要もないと思うんですが、今のようにどちらとも言えない、要するに判断がつかないようなものでしたら、僕は審議会や策定委員会できちんと議論して、半田市はこうだよねという方向を打ち出すのが、本来筋だと思うんですね。
 だから、基本計画でも、すごく抽象的な表現がたくさんされている。川をきれいにしましょう、じゃ、具体的に何をやるんだと。そういうことだと思いますので、この辺をしっかり議論していただけますか。

◎環境監(折戸富和君) EM菌の是非につきましては、やっぱり国とか県も実証実験をやりながらなかなかデータが得られないという状態ですので、その状態で半田市がいいか悪いとかを結論することは非常に困難であり、逆に、現在そういうふうに白黒つける必要性というのは感じておりません。
 ただ、今回、EM菌を導入することによって、地域の方が、自然環境に対して関心を示していただくだとか、活動に、意識の向上の役には立っているかと思っておりますので、一概に科学的根拠がないから、これをいいとか悪いとか、じゃ、認めましょうとか、もうストップしましょうというような考え方は持っておりません。

◆13番(中村宗雄議員) こちらもちょっと市長にお聞きしたいんですけれども、僕は、目的が正しければ全ての手段が正当化されるとは思っていないんですが、県の環境部が言っていることはすごく真っ当だなと思うんですね。というのは、皆さんの純粋な気持ちというのはすごく大切、だから、その純粋な気持ちを本来どこにリードするかといったら、不確かなものではなくて、実際に河川のごみを拾うですとか、家庭からのいろんなごみのこと、ああいうことにきちんと振り向けるのが行政の仕事じゃないかなと思うんですが、やって効果が出るか出ないか、よくわけのわからないところにリードするんじゃなくて、できればきちんとした結果がもう見えるところにリードするべきだと思うんですけど。そこら辺って、いかがなんでしょうか。

◎市長(榊原純夫君) 私も科学的なことを詳しく知るわけではありませんが、EM菌というのは大量に入れますと、pHが7.0以下、中性以下になって酸性になるという話を聞いています。それがさっきも言った、御質問された大量投入になるのかなと思いますけれども、いろいろ、知多半島、各市町でも同様な活動がされておりまして、それぞれ河川の水がきれいになっただとか、池の濁りがなくなった、あるいは水の臭気がなくなったというような声が聞かれております。特にpHが変わってしまって、何か自然環境に大きな影響が及ばないことであるなら、そうした効果とあわせて、いろんな活動に参加される方がEMだんごを川に入れられることも含めて、河川の草刈りをやったり、いろいろ知恵を絞って取り組まれることが決して悪いことではないと思いますので、現時点で例えば何か、大量投入したことによって水質が酸性に大きく傾いて実害が出てしまったようなことがあれば別ですが、そうでない限り、そうした環境教育の一環の中で、環境美化活動の一環の中でされることに関して、行政がそれはやめましょうということは言うべきではないというふうに思います。
 以上です。

◆13番(中村宗雄議員) よくわかりました。
 それでは最後に、環境教育のほうにちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、プールにEMを入れている学校とない学校がいるという中で、先ほど言われたEM菌をプールに入れているのは、掃除道具の1つとして活用していると、非常によくわかりやすい考え方でした。ということは、これを用いて別に環境教育をしようなんていうつもりは全くないという、そういう考え方でよろしかったですか。

◎教育部長(小坂和正君) 正規の授業の中で、EM菌の効能であったり効果について教育している部分はないということです。ただし、先ほども述べましたとおり、地元の方との環境美化活動、そういったところに児童は参加していますので、そういった場で一義的には川をきれいにする、そういうところの教育で、その手段の1つとして、だんごの投入ということをやっている事実はございます。

◆13番(中村宗雄議員) じゃ、今、そういう御答弁をいただいた中で、ちょっと2点お聞きしたいんですけれども、横川小学校のホームページ、トップページにばかんと張ってあるんですが、環境を学ぶ4年生がEM菌をプールに入れて、数週間後、プールの水がどうなるかを観察していますと書いてあることが、まず、どかんと載っているページがあります。
 もう一個は、EMパートナーネットワークというホームページに5月28日付で、半田市内小学校の中で、児童がトイレのにおいを改善したいと言うので、EM溶液と機材を郵送で購入してもらって、環境担当の児童が帰宅前にいつも清掃後に、便器にスプレーでEMを散布して、アンケートデータどりをしていると。これは、校長先生が作成した散布後の集計表をもとに、他校17校で実施の意向の予定があるということは、教育長は知っていますか。これ、堂々と書いてあるんですけど。

◎教育長(加来正晴君) 市内17校で実施ということは聞いておりませんが、トイレのにおいを消すということは他市町での経験値ですが、こういったことに有効だという話は聞いております。
 横川小学校の件は、プールに入れている学校についてはさきの答弁のとおりでありまして、清掃に対しては大変有効であると。確かに根拠が明確ではないということは、それはそのとおりでありますけれども、私たちも経験値の中で、有効であるということと、これは身をもって実感しておりますし、それから、賛否両論あるとはいうものの、有害情報、有害報告、これは見当たりません。聞いておりません。
 ですから、白黒つけるということは確かに難しいかもしれませんが、私たちはさまざまな情報やら経験の中で、これはプールの清掃あるいはトイレの清掃に使う、むしろ化学薬品を使うよりはそれはいいんじゃないかと思っております。
 以上です。

◆13番(中村宗雄議員) じゃ、もう最後にしますけれども、ちょっと教育長に、じゃ、1点だけ教えてください。確認させてください。
 僕は、環境教育というのは、草が生えるから除草剤をまいて何とかしようとか、プールに藻が生えるから、その液を入れて藻を取ろうとか、そういうことじゃなくて、プールみたいなところのよどんだ水には、光合成があって藻が生えるよと。藻が生えると、ヤゴですとか、いろんなものが、生物がそこに繁栄してきて、掃除するのは大変ですよ。自然環境教育というのは、自然と普通に向き合うこと、自然を大事にすること、余り人間の力で特殊にねじ曲げないこと、こういうことが僕、環境教育だというふうに思うわけなんですけれども、その中で、洗剤と比較してしまってはいけないんですが、その中で、じゃ、半田市の環境教育、教育長の思う環境教育というのは、一体どんなことを考えているんでしょうか。
 要するに、簡単に言いますと、白黒はっきりつけるのは難しい、そうかもしれません。別に僕、白黒はっきりつけろと言っているわけじゃないんですよね。ただ、それがいいとか悪いとかって、そんな話はちょっと置いておいて、本来もう少し違ったことを教えてあげなきゃいけないと思うんですね。これを入れると藻が少なくなるよ、これ、確かにいいかもしれません、これをまくとにおいが消えるよと。本来はそこにはないわけで、本当の原因は。対症療法やっているだけですよね。だから、そういうことを思うと、自然と向き合うとか自然を大事にするという環境教育と今言われたことというのは、何かちょっと違うような気がするんですけど、この辺の環境教育に対しての教育方針を最後に教えていただいて、終わりにしたいと思います。

◎教育長(加来正晴君) 環境に対する子供たちの意識を高めていくということは大変大切なことでありまして、これは家庭生活においても地域社会においても、学校ばかりじゃなくて、そういった環境に意識を向けるということは大変大切なことであります。ですから、半田市の学校の中でも、ESDのユネスコスクールに加盟しようという学校も今2校出てきておりますし、それぞれの地域には地域の自然環境がありますので、それは地域の方たちと一緒になって、将来、環境を保存していくと、こういった意識を高めていくということが、私の教育に対する基本的な考えであります。
 以上です。

  • 最終更新:2014-10-15 08:18:58

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