国会とEM(3)

189 - 衆 - 予算委員会第六分科会 - 1号 平成27年03月10日

○中根(康)分科員

 地元で聞いた声の二つ目でございます。
 これは、実は昨年のこの分科会でも取り上げさせていただいたEMについての質問であるわけであります。
 昨年のこの分科会で御答弁いただいたのは、佐藤生産局長さん。議事録を改めて読ませていただくと、該当部分は、「現場段階で、市町村あるいは農業者の方で、地域の土壌あるいは気象条件等を踏まえまして、地域段階でのEMの効果の有無の検証に取り組みたいといったような御要望がありましたならば、有機農業関係の予算の中でこうした実証についての御支援をすることは可能というふうに相なっている」、こういう御答弁をいただいたということでございます。
 まずは、この佐藤生産局長さんからの御答弁は実証についての御答弁をいただいたわけでありますが、その後ちょうど一年たったわけでありますが、平成二十六年度において、この実証ということについて実績があればお示しをいただきたいということでございます。

○松島政府参考人

 委員御指摘のとおり、EMの効果を検証するために現地で実証圃を設置するといったものにつきましては、有機農業関係の予算で支援することができるわけでございますけれども、二十六年度には地元からそういった要望がなかったというふうに承知しているところでございます。

○中根(康)分科員

 実証の御要望はなかったということでございます。
 もう一つ、今度は、これは研究という方面において雨宮技術会議事務局長さんから御答弁をいただいたものがあります。「研究機関からEMの効果に関する有用な研究計画がある場合には、提案公募型の研究資金でも応募が可能であるということでございます。」こういう御答弁があったわけでありますけれども、この研究資金というものについて応募があったかどうか、実績をお示しいただければと思います。

○西郷政府参考人

 委員お話しのありましたとおりに、一般的に、地域性、特異性の高い技術といったものにつきましては、まずは地域の試験場、大学等からの提案を受けて、外部専門家等の提案内容の審査を経た上で対応の適否を判断するという研究資金の制度がございます。
 ただ、この件につきましては、調べましたところ、二十六年度についての応募はなかったというふうに存じております。

○中根(康)分科員

 これは後でまた若干御紹介いたしますけれども、EMに対する取り組みは、全国各地でさまざま、有機農業あるいは環境浄化に対して展開をされているわけでありますが、今お示しをいただいたように、実証も、あるいは研究資金の活用も、いずれもなかったということについては、これだけEMが全国でいろいろ取り組まれている中で、なぜそういった研究資金やあるいは実証というものが活用されなかったとお思いになられますでしょうか。

○佐藤大臣政務官

 EMにつきましては、これまでのところ、水質の改善に対する効果は科学的に明らかになっていないということでありますけれども、EMを構成する微生物の種類が多種多様であり、その機能を正確に把握することが困難である上、EMが使用される環境も、地域や場所の違いによりさまざまであることに起因するものと考えております。
 一般的に、このような地域性、特異性の高い技術に関する研究につきましては、まずは地域の試験場、大学などからの提案を受け、外部専門家等による提案内容の審査を経た上で対応の適否を判断するという研究資金制度で対応しているところであり、今後とも、この枠組みにより対応してまいりたいと考えております。

○中根(康)分科員

 きょうは、EMに取り組んでおられる地元の方々から、いろいろと事例があるということで冊子を預かってまいりました。
 本当に、結構たくさんの好事例が掲載されているんですけれども、例えば愛知県の武豊町では、武豊堀川とアサリ池にEM活性液、EMだんごを定期的に投入した。その結果、アユの生息が確認できた、蛍が見られるようになったというような成果があらわれている。あるいは、小学校の五年生がEMを使って環境の勉強をした。自分たちでつくったEM発酵液でプールがきれいになる様子を観察したり、EMだんごをつくってアサリ池に投入した。
 また、わかりやすいのでいえば、愛知県の安城市、EM放流事業によって、アユが遡上し、水鳥が群れる環境が回復した。水質の指標のCODが改善して、魚が湖面を跳びはね、水鳥が集う油ケ淵へ再生された。さらなる浄化を目指して、市民によるボランティア活動が取り組まれている。生活排水と農業用水で水質が悪化していたのが、EMの浄化活動を行うことによって大幅に水質が改善した。これは、安城市の三河安城ロータリークラブの皆様方の活動であるわけであります。
 また、その隣の西尾市においては、西尾東ライオンズクラブの方々が、二の沢川あるいは北浜川というようなところにEMだんごを投入して、水質浄化が確認をされた。こういうような事例もあるわけであります。
 さらに言えば、大都会名古屋においても、堀川に毎週EM活性液を投入している、このことによって川の水の悪臭が減少したという効果があらわれたということでございます。
 もう一つだけ言えば、豊田は、五年間、EMの環境浄化活動を行って、川に蛍が舞って、ここもやはりアユが遡上する。水質改善も目覚ましいものがあった。生物化学的酸素要求量、BOD、あるいは大腸菌群数、こういう科学的な数字、客観的な数字を示すものにおいても確かな水質の改善が見られたということでございますし、また、川がきれいになっただけではなくて、農業の活性化にもつながり、田や畑の生物や川の生物もふえ、懐かしい里山の原風景が復活するというようなところにまでつながっていくことが期待される。こういった取り組みの事例が幾つかあるわけであります。
 こういった例はまさに枚挙にいとまがないぐらい全国各地で行われているわけでありますが、こういったロータリークラブあるいはライオンズクラブのような団体とか、また、小学校の子供たちの取り組み、こういうものはなかなか農水省からは余り認められないものということになってしまうのか。裏づけのない取り組みということになってしまうということなんでしょうか。
 子供たちの、あるいは、善意の団体の皆様方のお取り組みというものに対する農水省の評価というものはどういうものであるか、お示しいただければありがたいと思います。

○佐藤大臣政務官

 本当にさまざまな事例を御紹介いただきました。
 残念ながらEMの効果は今のところ科学的に明らかになっておりませんけれども、これは、その機能の把握が困難である上、使用される環境も多種多様であることが原因かなとも思われております。
 今後とも、提案公募型の研究資金への応募があれば、ぜひ対応を検討してまいりたいと思います。

○中根(康)分科員

 提案公募に対して応募があればぜひというような話もあったんですが、ある意味、そういう待ちの姿勢ではなくて、これだけ全国で多くの方々が取り組んでおられる、これに対してぜひ正面から向き合っていただいて、農水省としてもある意味主体的に、EMというものがどういうものであるか、本当に有効なものなのか、そうではないのかという客観的な検証を行う時期に来ているのではないかというふうに思いますので、ぜひお願いを申し上げたいと思います。
 これが有効なものということであるならば、例えば、私、何年か前に京都の貴船というところに行ったら、これは川床料理を楽しませていただいたんですが、豊かなきれいな環境がどういうふうにつくられているかということの一つに、やはりこの貴船地区でも、EMを川に投入して、それで環境浄化に寄与している、要するに、全国有数の観光地でもそういう取り組みが行われているということでございまして、こういうEMというものの有効性をある意味正当に評価して、EM農法のブランド化だとか、あるいはEM作物を活用しての六次産業化の推進であるとか、あるいはEM菌を使って浄化槽や水処理装置の開発であるとか、EMを使ってのさまざまな取り組み、また、子供たちに向けての環境教育の推進というようなことも考えられるのではないかというふうに思います。
 ぜひ、農水省あるいは環境省におかれましても、このEMというものについて何か偏見のようなものがあるとするならば、そういったものは払拭して、正面から向き合うような姿勢に変わってもらいたいというふうに思うところでございます。
 もう一つ、これもまた私の地元の愛知県西尾市というところのことでございますけれども、西尾市は抹茶の産地であって、経産省からも地域ブランドということで認定をされているわけであります。
 今や日本食ブームということもあって、和食には当然お茶が合うわけだし、健康にもいいということだし、あるいは、自分自身もペットボトルで毎日のようにお茶を飲んでいるということでありますけれども、ただ、実は日本の緑茶の国内消費は低迷しているというような事実もあるようでございます。
 低迷しているということであるならば、それを何とか盛り返していかなくてはいけない。盛り返すためには、クールジャパンということも含めて、海外の市場に新たな販路、活路を見出していくということが必要になってくるわけでありますけれども、この場合、例えば、輸出相手国の残留農薬基準が輸出拡大の阻害要因にもなっているということもあるように、なかなか難しいこともあるようでございますが、我が国のお茶の輸出戦略というものはどのようになっているか、お示しをいただければありがたいと思います。

190 - 衆 - 予算委員会第六分科会 - 1号 平成28年02月25日

○中根(康)分科員

 引き続き、EMについてお尋ねをしていきたいと思います。
 森林、川、海と健全な水環境を守っていくということは大変重要なことは言うまでもないことで、水がきれいでさまざまな生き物が生息し、人々が親しめる水環境をつくるということ、このために一つの有効な手段、方法がEM菌を活用することであると私は考えさせていただいているところでございます。
 改めて、EM菌とは何かということでいえば、物の本によれば、こう書いてあるわけですね。有用微生物群エフェクティブマイクロオーガニズムズ、主体は光合成細菌、乳酸菌、酵母菌などで、パン、みそ、チーズ、ヨーグルト、ワインなど発酵食品の加工に昔から使われてきた、自然界のどこにでもいる微生物群のことである。つまりは、決して特殊なものではない、自然界の力をかりて、生かして環境の浄化に資する、こういうものがEMだということであります。
 このEM活用のさまざまな成功事例が全国の至るところにあるわけであります。例えば、私の地元の愛知県では、かつて最も汚れた湾と言われていた三河湾が、その最大の汚染源であるとも言われた矢作川の浄化によってきれいになった。矢作川自体が大変汚染されていたのですが、今では大量の天然アユが遡上するようなきれいな川になった。これは矢作川流域の住民の大きな努力の結果だというふうに思うわけでありますが、その中には、例えば、流域自治体の一つである、今は豊田市になりますが、その当時は足助町というところでは、住民の三分の一がEMを使い、EMによる水質浄化に取り組んだ。
 EMを使うということは、つまりは、川にEMだんごやEM液を投入する、EMを使った洗濯あるいは食器洗い、風呂やトイレの掃除にEMを使う、学校でのプールの清掃にEMを使う、生ごみの堆肥化にEMを使う、EMによる家庭菜園や自然農法に取り組む、こういうようなことでありますけれども、これらのことにより、川の大腸菌が減り、BODが減少し、川や海がきれいになって、結果的に、三河湾では、絶滅が心配されていたスナメリが今では群れをなして泳ぐようになる、アサリやトリガイの漁獲量がふえた、里山では蛍が乱舞するようになったということであります。
 これらのことを、行政が補助金を出したり、子供会が取り組んだり、ライオンズやロータリーが取り組んだり、主婦の方々が取り組んだり、あるいはゴルフ場なんかでもEMを使ったりと、いろいろな取り組みが行われているわけであります。
 こういった同じようなことは、例えば、この東京でも日本橋川、あるいは十和田湖、あるいは長野県の諏訪湖なんかでは長野の阿部知事が大変力を入れているというようなことであります。
 二〇一〇年七月十九日の海の日には、全国一斉EMだんご・EM活性液投入イベントがCOP10のパートナーシップ事業として行われたということでもございます。主催は、EMを活用した環境浄化を推進している全国組織のNPO法人地球環境・共生ネットワークで、全国三十七都道府県、三百六十二団体、一万三千二百五十八人の市民が環境浄化と生物多様性を願って参加し、四十八万五千六百六十個のEMだんごと三十万百六十六リットルのEM活性液を各地の海や河川や湖や沼に投入した。
 こういうさまざまな取り組みが行われているというのは、EMは大変ローコストで、市民が自分たちの力で継続的に環境浄化活動を行っていくことができる、活動の輪が広がりやすい、こういうような特徴があるからであるということも言われているところでございます。
 こういうようなEMを使った環境浄化の取り組みがさまざまな地域である意味積極的に行われているというようなことを、環境省としてはどのように把握しておられるのか。あるいは、こうしたEMを使った環境浄化活動を環境省としてどのように評価をしておられるのか。
 残念ながら、実は、EM関係でいうと農水省とか環境省とかということになるんですが、昨年も農水省にこのEMについてはお尋ねをしたということもありますけれども、まだまだ正当な評価がなされていないし、ある意味、その評価をするための科学的な検証なども行われていないというようなこともあるわけでありますけれども、環境省として、EMを使った環境浄化活動についてどのように捉えておられるか、お考えをお聞かせいただければと思います。

○丸川国務大臣

 一般論として、微生物の働きを利用して汚染物質を分解することにより、土壌や地下水等の環境汚染の浄化を図る技術があるということは承知をしております。
 御指摘のEMが環境保全に役に立つかどうかということについては、科学的な検証によって判断されるべきものであると考えております。

○中根(康)分科員

 例えば、宮崎県で口蹄疫が流行したときにEMが役立ったとか、あるいは福島第一原発事故の除染活動にEMが役に立ったとか、あるいは海外でも、タイのあの大洪水の際の衛生状態の改善においてEMが役立ったとか、こういう事例も伺っているわけでありますけれども、ここまでいろいろな事例が出てくると、環境省としても、きちんと科学的な検証をして正当な裏づけのもとに、有用であるならば、それを積極的に活用していくというような姿勢も必要になるかもしれないというふうに思っておりますけれども、改めてこの点について大臣にお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○丸川国務大臣

 これまでのところ、環境省としては、EMが水質浄化に効果があるとの科学的な検証データを承知しておりません。
 また、今、東日本大震災後の土壌の除染について御指摘をいただきましたけれども、平成二十六年度に、四種類の科学文献情報データベースに収録されている文献を対象に、除去土壌及び焼却灰の処理に関する技術について検索を行いましたが、EMの除染効果を示す文献は確認できませんでした。この調査を含めて、これまでのところ、環境省としては、EMが放射性物質に汚染された土壌の除染に効果があるとの科学的な検証データを承知しておりません。
 なお、環境省としては、有識者により環境改善効果があると判断された技術について、第三者による効果の実証試験を行っております。

○中根(康)分科員

 その第三者による実験事業ですか、今、大臣が最後におっしゃられたところについて、ここにEMの活用ということが含まれているということで理解していいのかどうかということを最後に確認させていただきたいんですが、いかがでしょうか。

○丸川国務大臣

 この事業で対象としておりますのが、既に実用化され有用と思われる先進的環境技術について、開発者でも利用者でもない、信頼できる第三者機関が実証を行うという事業でございますので、その対象ということでございますれば、環境保全に資する事業としてこの実証試験の対象となります。

○中根(康)分科員

 実証事業の対象となると御答弁いただいたわけであります。
 多くの、子供会からロータリーからライオンズから、あるいは行政も含めて、全国各地でいろいろな取り組みがなされているわけでありまして、それが全く意味のないものであるというわけではないはずでありますので、ぜひ、これからも研究を進めて、有効なものについては環境省としても御支援をいただければという思いをお伝え申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

  • 最終更新:2016-08-30 15:57:46

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード