富山県

富山県議会とEM

平成6年2月定例会
◯19番(北島秀一郎君)
 次に、中山間地対策についてであります。
 昨年あたりから国において中山間地対策が言い出され、事業も出てきているようでありますが、現時点では以前の政策よりも、より現実的な中山間地対策になるような政策が出ていないように思うのでありますが、これはどうなのでありましょうか。国に対して、現在の政策以上のものを期待しても私は無理なような気がする。県として、それぞれの中山間地域に合った政策を作成し、国に対して財源措置などを求めるよう働きかけていくという積極的な対応が求められているような感じがするのでありますが、どうでありましょうか。これもまた、地方集権の一つではなかろうかと思うのであります。
 最後に、EM技術についてお伺いいたします。
 まず、EMとは、自然界に大きく分けて、蘇生と崩壊という2つの方向性があります。蘇生の方向へ進むとすべてのものが生き生きとし、健全な状態を維持するようになります。反対に、崩壊の方向に変わると、腐敗や汚染が進み、病気が発生して、すべてのものがだめになってしまう。その方向性を左右しているのが、私たちの目に見えない生命の最小単位の微生物であるということが最近わかってきました。問題のある土壌などを蘇生の方向へ転換させる力を持つ微生物がEMであります。富山医科薬科大学助教授の大星信載先生も『よみがえれ大地-EM農法-』の本を出版され、その冒頭で、「農家でも、農学者でもない私が、このようなEM農法の効用について筆をとることには私自身少なからず奇異な思いがしている。しかし、どうしてもこのことを、より多くの皆さんに知ってもらい、日本全国、いや世界のこれからの環境問題、食料の生産に目を見張るような影響を与えることのできる方法が既にあるということを、広く一般に訴えたいという思いが私にこの本を書かせたのだ。」と言っておられます。
 城端普及所だよりでも紹介され、「飼料に添加したり、畜舎に散布することで悪臭解消に顕著な効果があり、同時に、極めて良質の堆肥に変わります」とあり、「城端町でも、ことしから畜産農家で取り組みが始められることになりました」と報じています。
 私も発見者の琉球大学比嘉教授のお話をお伺いしましたが、すばらしいものであります。地球環境保全の観点からも、ぜひとも行政においても研究され、農家や各種団体に対して普及、指導、支援を積極的に図ってもらいたいと思います。所見をお伺いいたしたいのであります。
 以上で私の質問を終わるのでありますが、最後のEMの重要性については、あと一、二年で皆様方に御理解をいただけるようになると思いますが、いま一つ重要なことは、私たち人間は、宇宙から見れば微生物のようなものであります。その我々が自己満足のために崩壊型となり、地球を傷め、公害を出し、病気をつくり、みずからの行いでみずからを滅ぼそうとしているのであります。今私たちは、蘇生型に変わらねばならないのであります。そのためには、太陽が東から出て西に沈む天動説的発想による行いから脱却して、地球はみずからを律しながら、宇宙のルールに従って行動しているように、我々もみずからを律しながら、世のため、人のためには何が真理なのかを理解し、そのルールに合わせて行動しなければならない時代に変わってきているということを申し上げ、私の質問を終わります。

◯農業水産部長(堀田 稔君)
 最後に、県としてEM農法を研究し、積極的に採用してはどうかというお話でございます。
 先生からも御説明ございましたけれども、EM農法は、もとは琉球大学の比嘉照夫教授によって開発されたものでありまして、EM菌、すなわち有効微生物群と称する細菌や酵母等を利用して醗酵を促進させた堆肥や、EM菌の液剤等を散布することによりまして、土壌中の有用微生物の活動を活発にしたり病害虫の発生を抑制することによりまして、収量・品質の向上、生理障害や連作障害の軽減、畜産の悪臭防止や有害微生物繁殖抑制に効果があるように聞いております。また、新聞、雑誌等のマスコミを通じて情報が流れておりますことから、県内の一部畜産農家において取り組みを始める動きがございます。
 この農法につきましては、ほかの県の公の試験研究機関の研究によりますと、稲に施用した場合に、慣行栽培に比べて収量が落ちること、また、レタス、白菜などでは、堆肥と一緒に施用した場合には増収が見られますが、無堆肥では減収する等の報告がなされております。また、品質や連作障害に対する効果については、必ずしもまだ明確ではない現状でございます。
 県といたしましては、環境にやさしい農業を推進する観点から、有機物施用や土づくり等を積極的に進めているところであり、EM農法で利用されているような微生物資材についても、客観的に効果があるかどうかについて情報収集に努めるとともに、環境保全型農業を推進する中で、活用の方法について研究していきたいと考えております。


  • 最終更新:2013-11-22 08:26:11

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