山形県

山形県議会とEM

平成10年 12月 定例会
◆ 40番(関口修君)
 せんだってのマスコミ報道の中で、「ダイオキシンの発生元を断ち99%抑制」「新システム開発中」という記事が目につきました。ダイオキシンが人体と環境に与える影響が深刻に議論されております。資料によりますと、有機塩素の数によってさまざまな異性体があり、その数は二百十種に上る、中でも四塩化ダイオキシンは、発がん性、催奇形性を有し、皮膚の変化、内臓障害などをもたらし、長期間毒性はなくならず、史上最強の毒性物質であると言われております。ベトナム戦争で使用した枯れ葉剤の中に含まれ、戦争が終わってからもベトナムでの奇形児が多いのはこのダイオキシンが原因ではないかと指摘され、世界的に大きな問題になっております。我が国でも、ごみの焼却場からの飛灰や製鉄過程でダイオキシンが検出されたと報じられております。厚生省は、昭和五十九年、廃棄物処理に係るダイオキシン等専門家会議を設置し、ダイオキシンの問題と評価考察するための評価指針を設定し、対策の検討を始めました。さらに、今年の十一月二十四日、環境庁の土壌中のダイオキシン類に関する検討会の中間報告によりますと、市街地の暫定的なガイドラインを土壌一グラム当たり一千ピコグラムとし、来春、最終報告をまとめて自治体に示すとしております。ちなみに一ピコグラムとは一兆分の一グラムだそうであります。依然として子供の集まる公園など用途に応じさらに厳しい基準にすべきだという強い議論も提起されているのであります。
 県内におけるごみ焼却場を初めダイオキシンの発生源についてどのように把握しておられるかお尋ねをいたします。
 また、報じられている「ダイオキシンの発生を微生物抽出物を利用して九九%抑制しようという画期的なシステム」に注目すべきではないでしょうか。このダイオキシン抑制のメカニズムは、ダイオキシンが合成される反応そのものを有用微生物群抽出エキスを焼却炉の煙の中に噴霧することによって、ダイオキシンが合成されなくなるというメカニズムだと聞いております。既に、琉球大学農学部、日大工学部と共同で埼玉県和光市の清掃センターで実施したテストでは、焼却灰中のダイオキシンが九〇%以上抑制されることが確認できたと報じられております。しかも、焼却灰の廃棄による二次汚染を誘発することもないとしております。
 県としても、このような民間における新たな技術開発を常に注目しながらダイオキシン対策を積極的に進めていかなければならないと思うのでありますが、国に対する働きかけも含め、今後の取り組み方針をどのように考えておられるかお尋ねいたします。


◎文化環境部長(佐々木克樹君)
 それから、技術開発動向を踏まえたダイオキシン対策の推進についてでございます。
 廃棄物焼却炉におきますダイオキシン対策につきましては、昨年度から国がその発生メカニズムや削減対策に関する研究を開始されたところでございます。また、民間のプラントメーカー等におきましても、触媒方式、吸着剤方式やお話にございました微生物を利用したもの等、さまざまな方式によるダイオキシン抑制技術の開発研究が行われているところでございます。しかしながら、廃棄物処理施設の構造や維持管理については、法令によりその基準が定められているため、現行基準を代替するための新技術の導入につきましては、国の技術評価を受け、さらに構造基準などに係る法令改正など解決すべき課題があることから、全国的な問題としまして、過般、全国知事会を通じまして国に対して調査研究の推進要望を行ったところでございます。
 県といたしましては、今後とも国との意見交換や民間の開発研究の動向にも十分関心を払いながら、総合的にダイオキシン対策の推進を図ってまいりたいと考えております。


平成15年  9月 定例会
◆ 31番(鈴木正法君)
 次に、地域結集型共同研究事業の今後の展開についてお尋ねします。
 科学技術振興事業団の公募型研究事業の採択を受けて平成十年九月に開始した地域結集型共同研究事業も、五カ年間の事業期間がこの九月で終了の運びとなりました。去る七月十七日には成果報告が、翌十八日には研究報告が行われるなど、事業のまとめも終わって幕を閉じようとしています。
 このたびの研究事業は、食と健康と先端技術基盤を研究領域とするものであることから、農業や工業、さらには医療の分野など、研究の成果が県民生活の質の向上に大きく寄与できるものと期待されてきたところであります。生体高分子、有用微生物、生命活動センシングなど五つのグループに分かれて研究が進められてきましたが、研究を研究だけに終わらせることなく、産業振興の面からもいかに事業化に結びつけていくかというのが今回の研究事業の特色であり、そのための新技術エージェントの配置ではなかったかと思います。

◎商工労働観光部長(野村一芳君) 地域結集型共同研究事業の今後の展開についての御質問でございます。
 本事業におきましては、県内の大学、企業、県の研究機関など産学官が一体となって研究に取り組んできました結果、眼底断層診断装置、ウシ受精卵品質評価装置など五つの製品化、さらにはベンチャー企業の設立、六十を超す特許出願など、大きな成果をおさめることができまして、地域の研究開発力の強化と新製品の開発によります事業化につながってきたと考えてございます。
 今後は、この成果をさらに発展させていく必要があると認識しておりまして、本事業に参画いたしました企業、大学、県の試験研究機関が広くネットワークを組みまして、製品化・事業化に向けて研究開発を継承し発展させていくということとしてございます。県の高度技術研究開発センターにおきましては、幅広い応用展開が可能な光計測などの先進の技術研究に引き続き取り組みまして、超精密加工テクノロジープロジェクトに応用するなど、製品化・事業化のための支援を積極的に推進してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。



平成16年  2月 定例会
◆ 10番(小野幸作君)
次に、有用微生物群を活用した環境保護対策についてお伺いいたします。
 自然界にある微生物の力を利用したEMについて申し上げます。
 EMは、一九八二年に琉球大学農学部の比嘉教授によって開発された液状の微生物資材であります。EMは、自然界に存在する人にとって有益な発酵微生物を組み合わせたものであります。発酵食品加工に用いられ、酵母、乳酸菌、光合成細菌の三種類の微生物グループがEMを構成しております。この複雑な関係がつくり出す発酵生成物の抗酸化力が、EMを使用する場合の効果の源だとも言われております。有機物の分解を促進して腐植を増し、持続的かつ健康的な有機農業を行うためのツールとしても有用なものだそうであります。
 さらに、その効能や使用が解明されるにつれ、環境浄化、公衆衛生、工業利用と、用途の幅が拡大してきております。今、世界百三十カ国で活用され、十二カ国が政府機関との共同プロジェクトで進められているそうであります。国内では、六百以上の自治体や行政やあるいは市民が使っていると言われております。そして、まちづくり、人づくりに活用され、農業、畜産、漁業、環境浄化への応用活用が広がってきております。
 ある自治体では、まちぐるみで取り組み、大きな成果を上げているそうであります。この傾向は、年々ますます広がっていくものと思います。盛岡市内では市民団体が中心になり、EMを生かして自然再生に取り組んでいるそうであります。そして、今や環境トップランナーとまで言われているそうであります。現在、松くい虫対策、アメシロ対策、県下七十校のプールの浄化、池や川の浄化、自治体の生ごみ処理と、幅広く活用されているとのことであります。
 これら環境に有用な微生物群についての考え方を、文化環境部長にお伺いいたします。


◎文化環境部長(笠原征男君) 有用微生物群を活用した環境保護対策についてでございます。
 地球上には数多くの種類の微生物が存在しておりまして、動物や植物などを分解して、生物の再生や循環の源になっております。これまでも私たちは、みそや酒づくり、あるいは漬物や紅花染など、有益な微生物の恩恵を受けてきましたし、下水道や浄化槽、山岳トイレや堆肥づくりなど、これら微生物による自然の自浄作用を生かした環境の保全や創造に役立てるなど、微生物と共生した生活を営んできているところであります。
 これら微生物を活用した環境技術については、県内企業でも多くの取り組みが見られまして、これを奨励するため、微生物を利用した堆肥素材発酵促進剤を開発して環境保全型農業を推進している企業に、環境やまがた大賞を贈っております。さらに、微生物を使った飼料や肥料八品目を山形県リサイクル製品に認定して、その普及拡大を図っているところであります。
 今後は、河川や土壌の浄化、バイオマス利用など環境技術の実用化が期待されるところでありまして、全庁的なエコビジネス連絡調整会議を活用しながら、積極的に支援してまいりたいと考えているところであります。


  • 最終更新:2013-11-22 17:49:25

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード