岐阜県

岐阜県議会とEM

平成 4年  9月 定例会
◆ 五十三番(米野義久君)
 私は、法の趣旨にもございますように、県民が総参加で自主的に廃棄物の自家処分や再生品の利用に取り組んでいくことを強く望むものでありますが、その一つの方法をここに例として御紹介いたしたいと思います。家庭から出るごみの主なものに生ごみがありますが、この生ごみの有効利用ができれば、ごみの減量化に大きな効果があると思います。この生ごみを短期間に堆肥にすることのできるボカシと言われるものが最近普及しておる様子であります。これであります。(資料を示す)これは、琉球大学比嘉教授の発案されたEMと呼ばれる有効微生物群の培養液とワラ、もみ殻、コヌカ、糖蜜を材料にしてつくられ、これを生ごみに振りかけてビニール袋などで密封状態にしておくと、十日ほどで腐敗臭のない良質な有機肥料ができるわけであります。従来のように、生ごみを自然に腐らせて堆肥にする方法は分解速度が遅く、腐敗菌による悪臭が発生するなどの欠点がありましたが、このボカシによる生ごみの処理は、分解のスピードが速い上、ほぼ臭いがなく、田畑に入れると作物の肥料として大きな効果があり、また約二週間で完全に土に還元してしまうようであります。このボカシを普及していくために、今年三月、可児市の後押しによって環境浄化を進める会が設立され、その会員数も現在では千二百名を超え、全国的な広がりを見せているとのことであります。
 さて、県民のこうした活動に対して、県や市町村はその意識啓発はもちろんのこと、減量化活動に対する具体的支援をより積極的に行っていかなければならないと考えます。そこでお尋ねします。このように改正廃棄物処理法が施行された現在、県はこのボカシの普及促進を含め、いかに県民の廃棄物減量化活動を指導啓発し推進していかれるのか、また、効果的なリサイクル推進対策をお考えになっておられるのか、まず、衛生環境部長にお尋ねいたします。

◎衛生環境部長(井口恒男君) 最初に、ごみ減量化とリサイクル推進につきましてお答え申し上げたいと思います。
 ごみを減量化しリサイクルを推進することは、廃棄物を適正に処理するために緊急かつ重要な課題となっておるところでございます。県といたしましては、このたびの法改正によりまして、各市町村におきますごみの分別収集につきましてリサイクルセンターというものができました。これの整備事業と廃棄物減量化・再生利用対策事業等につきまして、これを進めますとともに、市町村指導指針としましての岐阜県一般廃棄物減量化・再資源化推進基本計画を、平成五年度策定に向けて調査を実施しているところでございます。
 また、今年度、廃棄物のユニークなリサイクル法ということで県民の皆様から広くアイデアを募集したところでございますが、およそ七百件ほど応募があったわけでございます。このアイデアにつきましては、今後廃棄物行政に活用していきたいと考えておるところでございます。
 リサイクルの推進につきましては、施設の整備もさることながら、まず県民の皆様の協力が必要であるということから、啓蒙、啓発も大変重要なことと考えておるところでございます。その一環といたしまして、十一月四日には地球環境祭り,92ということで関市で開催するわけでございます。不用品のリサイクルバザーや講演会などを通じまして県民の意識啓発に努めるほか、啓発用ごみ減量化事例集の作成、配布などを計画しておるところでございます。このほかにもあらゆる機会をとらえまして、啓蒙、啓発を進めてまいりたいと考えております。
 議員御指摘のボカシ、先ほど見本が配付されておったわけでございますが、この家庭生ごみの堆肥化ということにつきましては、ごみの減量化あるいは資源活用という面で有効なものであるというふうに考えられます。その普及について今後検討してまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、産業廃棄物処理施設設置に伴います業者指導につきましてお答え申し上げたいと思います。
 御指摘いただいたわけでございますが、地元の理解なしには処理施設の円滑な運営は望めないということで、法律の規定はもとよりとしまして、県におきまして岐阜県産業廃棄物の適正処理に関する指導要綱によりまして、地元の理解を得るため最大限の努力をするよう行政指導をしてきておるところでございます。今回の法改正によりまして、許可要件等についての厳しい内容の改正が行われたところでございますので、およそ千人ぐらいの関係者でございますが講習会を開催し、周知徹底を図ったところでございます。今後とも、法律及び指導要綱の厳正な運用を行ってまいりたいと考えておるところでございます。

平成 8年  9月 定例会
◆ 十五番(戸部一秋君)
 最後になりますが、最近話題になっております有用微生物群について要望を申し上げたいと思います。
 商標を申し上げますとよくわかるかと思いますが、議場でありますので、この点はぼかしておきたいと思っております。
 私の住んでおります付近の畜産農家の悪臭で、長い間大変皆さん方が困っておられましたが、今年の夏は悪臭が余りなかったと言われておりました。そこで、私はそれを聞き、どのようにされたかとお聞きをいたしましたが、有用微生物を使用したんだと言われておりました。私も、前から有用微生物については大変関心がありましたが、知事さんもこれについては大変関心がおありだとお聞きをいたしておりますが、こんなに悪臭がなくなるものかと、地元の鶏舎や牛舎に行き、見て、聞いて、においもかいできましたが、話のとおり本当に悪臭は余りありませんでした。お聞きをいたしますと、飼料に畜産用の有用微生物を投与しているし、また、清掃にも使用していると言われておりました。そして、発酵菌によりふんも生ごみも有機肥料に早くなるので実用されているそうです。地元の議員さんが自費で有用微生物を使用して実験をされております給食センターも見てまいりました。マンホールの中や浄化槽の中も見てきましたが、悪臭はほとんどありませんでした。また、流水管についている汚泥もきれいになっておりました。私は本当にびっくりして、県御当局にお聞きをしましたら、県においても研究をしているが、この有用微生物の効果があったところと全くなかったところとあるので何とも言えない、このようなことでございましたが、現実、私が目で見てきた地元の鶏舎や牛舎は悪臭がほとんどなくなっているのですから、学問的や科学的や学会の結果はともかく、日本一住みよい岐阜県にするためには、今後、県においてさらに研究・検討されるよう要望をいたすのであります。私も今後勉強して、次の機会に質問をさせていただきたいと思います。

◎農政部長(小川修君) 畜産環境保全対策の推進についてお答えをいたします。
 畜産環境対策につきましては、家畜ふん尿の堆肥化等による土地還元を基本として推進をしておりますが、都市化・混住化の進展により畜産農家に起因する環境問題が所により顕在化してきております。このような中で、周辺環境と調和のとれた畜産経営の育成を図るため、環境汚染防止技術の普及指導、環境保全施設の整備等を内容とするいきいき畜産五カ年計画を昨年策定し、本年度から推進をいたしております。具体的には、全県下の畜産農家を対象に、水質・臭気検査などを実施しまして、その結果に基づいて改善技術の導入など指導の強化を図ってまいります。特に混住化の著しい岐阜、西濃、中濃地域におきましては、畜産環境整備特別対策事業により、家畜のふん尿・汚水処理等環境保全施設整備の強化や良質堆肥の円滑な流通システムづくりを進めるとともに、花木の植栽による畜舎周辺の緑化、花飾り等による周辺美化にも取り組んでまいります。これらの施策により、地域環境と調和のとれた健全な畜産経営の育成を図ってまいります。

平成10年  2月 定例会
◆ 十五番(戸部一秋君)
 県の調査によりますと、平成八年度の家畜ふん尿の総排出量は約百二十万トンで、うち九割が乾燥や発酵処理をされて農用地に還元されているとなっており、リサイクル率が非常に高いものと認識いたしております。これらの方針は、さきに述べました基本問題調査会の中間取りまとめにあります考え方や、現在、県で進められている廃棄物対策五原則のうちの一つである「リサイクルの徹底」の原則に重点を置いた適切な方針だと私も考えております。
 また、私が平成八年の第四回定例県議会で質問の折に要望させていただきました、家畜の臭いを抑えたり、堆肥の発酵を促進させたりすると期待されている有用微生物群の利用実態調査についても、科学的な裏づけとは別に、岐阜、本巣、西濃地域などを中心に現場の実態調査を進めていただいているとお聞きいたしており、今後もさらに研究・調査を進めていただきたいと考えております。
 このように、家畜ふん尿処理は適正な処理をし、農用地還元を基本とされており、各種の事業により畜産環境問題の解決に努力されているところですが、保健所や県の幾度かの指摘にもかかわらず地域住民と一体となって取り組もうともしない、なかなか解決しない事例もあるやに聞いております。そこで、こうした事例について今後どのように対処されるのか、農政部長の御所見をお伺いいたします。

◎農政部長(森井季雄君) 二点についてお答えいたします。
 次に、畜産環境問題への対応につきましては、岐阜県畜産経営環境保全対策指導方針に基づき指導しているところでございます。家畜ふん尿処理につきましては、従来から適切な堆肥化処理等による土地還元を基本として推進しております。さらに、効率的な処理をするため、農協等を中心とした共同の堆肥化処理施設の整備を図るとともに、耕種農家との連携を強め、堆肥の円滑な流通に努めております。また、苦情処理につきましては、市町村を中心に県事務所、家畜保健衛生所、畜産団体等関係機関が一体となった指導体制により畜産農家への立入調査を行い、廃棄物処理の自己責任意識の徹底や処理方式等の改善指導に務めているところであります。議員御指摘の事例につきましては、地域社会と調和のとれた畜産経営を目指すよう、衛生環境部とも連携を密にしながら体制を強化し、適正な処理を強く指導してまいります。

平成13年  6月 定例会
◆ 一番(川上哲也君)
 さて、その具体的な内容について意見交換をしている際に、このような話が出てまいりました。例えばスーパーやコンビニなどで配られるレジ袋を断って、マイバッグ運動、これにつきましては県もそのマイバッグを配っていただくなど努力いただいておりますが、それを民間だけでやっていると本当に限界が低い。何か行政としても対応いただきたい。そういった御意見や、あるいは生ごみの堆肥化について、よその県で行政が取り組んでやっているところもあるが、岐阜県も何とかそういった行政が関与してやっていただけないものか。EM菌などもつくっているが、それをどうやってやっていくか。この将来が心配だなどという意見が出されております。そういった声に対し、今後県がとるべき方向を考えた場合、市民運動に対し、行政との協働を進めていくことが必要となってくるのであります。例えばレジ袋の件に取り組もうとしても、協力する店舗と協力しない店舗があっては、実際なかなか取り組みの効果を出すことはできません。そこで、例えば地域振興局単位に環境月間の何日から何日まではノーレジ袋デーとしてマイバッグ運動をするですとか、一般も参加できる内容でテーマを決め、その実践に向けて、行政と住民が協働して取り組んでいくという方法はいかがでしょうか。
 ここで、なぜ地域振興局単位なのかにつきまして申し上げますと、市町村単位で取り組んだ場合、例えばレジ袋を断る、そういった運動をした場合でも、隣の町へ買いに行ってしまうということが考えられます。そういったことで、合意形成ができやすいなるべく大きい範囲ということで地域振興局単位での運動を提案するものであります。できれば今年、来年の取り組みはどのようなものにするか、地域振興局でアンケートをとり、来年から取り組むという方法をとっていただければと思っております。また、もしすべての地域振興局では無理だということであれば、まずは環境モデル地域を設定し、行政がリーダーとなって、住民や事業者と一体となって環境問題に取り組んでいき、その結果を踏まえて、全県に広げていく方法もあります。こういった環境基本計画の具体的取り組みについて、どのように進めていくのか、環境局長、お答えを願います。

◎環境局長(田代一弘君) 環境への取り組みの三点についてお答えをいたします。
 まず、環境基本計画の具体的な取り組みについてでございますが、新たな岐阜県環境基本計画では、全国初めての岐阜モデルとして、県民の方々、事業者、行政が協働して環境保全に取り組む考え方をすべての施策の前提に位置づけております。議員お尋ねの具体的事例の取り組みでは、例えばごみの減量等を目指してマイバッグ持参や容器包装の店頭回収などに積極的に取り組む店舗を県ではエコショップとして、現在六十店舗を認定いたしており、平成十七年度までに百五十店舗の認定を目標としております。また、地域で環境保全に積極的に取り組んでいただいておる団体は現在二百六十七団体ありますので、これらとも連携をとり、より一層連携を強化し、地域と行政との協働体制づくりに積極的に取り組んでまいります。
 次に、住民に対する環境意識の高揚策についてでございますが、議員御提案のとおり、県民一人ひとりの環境意識を高めていくということは、環境協働体制づくりに最も重要と認識をいたしております。中でも、学校、地域及び家庭における環境教育、環境学習の充実は極めて重要であり、例えば学校版ISO制度の創出、環境局職員や地域人材を学校に派遣する岐阜県環境学習出前講座の実施、家庭向けマニュアルとしての岐阜県版環境家計簿の作成等、あらゆる機会を利用しまして、今後とも積極的に取り組んでまいります。
 次に、家電リサイクル法施行後の状況及び不法投棄防止策でございますが、家電四品目は法施行後の四月、五月の二カ月間で八千四百十九台が回収されております。これは、例年の排出台数の約五分の一の量となっております。また、この二カ月間の不法投棄は八十八カ所、五百二十一台で、過去の不法投棄を把握しております市町村の統計では約二倍と増加をいたしております。不法投棄防止対策には、市町村、県、警察との連携によりまして、ヘリコプターによる空からのパトロールも行い、徹底した監視をする一方、県民一人ひとりの方々の御理解と御協力が得られますよう、あらゆる機会を通じまして普及啓発に努めてまいります。

◆ 二番(伊藤秀光君)
 次に、ごみ全体の中の四〇%も占めると言われる生ごみのリサイクルは、ごみの減量化に多大の成果を上げることは間違いありません。また、その生ごみの中の四〇%は、まだ十分に食べられることを思うとき、一日五万人もの子供たちが餓死していく発展途上国を思うと、複雑な気持ちになります。
 本県では、可児市からスタートしたEMぼかしによる生ごみリサイクルは、全国に広がりを見せております。幸い、ことしから農林水産局を中心にスタートするバイオマス利活用推進事業は、家畜排せつ物や生ごみなどのバイオマス資源の堆肥化や飼料化、エネルギー化などの総合的な利活用を進めるもので、時宜を得た事業であり、その拡大と県民への生ごみ有効利用について普及・啓発が必要だと考えます。

◎環境局長(成原嘉彦君)

 まず、環境行政推進のための普及・啓発施策についてであります。
 今日の環境問題の解決のためには、県民の皆様、事業者の方々、そして行政が情報を共有し合うことが不可欠と考えております。そこで、県では、県民との協働の場である環境づくり県民会議、循環型社会形成推進協議会での活発な議論や地球環境村フェアなどのイベントを通じて、環境保全に関する普及・啓発を行うほか、テレビ、ラジオ、新聞などにより広報を実施しているところであります。
 さらに、本年四月には、県内の環境に関するさまざまな情報を集積し、県内外に向けて発信していくための新しい仕組みとして、インターネット上に環境ポータルサイト「岐阜県まるごと環境パビリオン」を稼働させたところであります。当サイトは、県内小・中学校、各自治体などが直接入力できる参加型サイトとして、お互いに情報発信、情報交換し合える場をつくり出したものであります。これからも環境行政の推進のため、積極的に普及・啓発に取り組んでまいりたいと考えております。


  • 最終更新:2013-11-22 08:25:38

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