札幌市

札幌市議会とEM

平成14年第 1回定例会

◆田中昭男君

 質問の2点目は,ごみ減量化に向けた施策についてであります。
 本市では,平成12年3月に,具体的なごみの減量やリサイクルの目標値を盛り込んださっぽろごみプラン21を策定し,この目標を達成するために昨年末にさっぽろごみダイエットメニューを策定するなど,種々の取り組みを進めていると聞いているところであります。
 この中で,私は,具体的な減量施策として生ごみの減量化に注目をしております。
 本市における生ごみの排出量は,一般家庭から出るものが約20万トン,事業系,いわゆる食品流通業や飲食店から出るものが8万トンであり,合わせて28万トン程度となっております。また,廃棄物全体に占める割合を見ると約4割弱と,大きな割合を占めております。したがって,これらの生ごみをリサイクルすることは,ごみの減量という面にとどまらず,限りある資源の有効利用という点からも,積極的に進めていくべき施策の一つであると考えております。
 本市の生ごみの中で,事業系生ごみについては,家畜や養殖業の飼料として再生利用する本格的なリサイクルシステムを稼動させ,現状では事業系生ごみの約2割を処理していると聞いており,全国の状況と比べると,本市はかなり再生利用が進んでいるとの一定の評価をするものであります。
 一方,一般家庭から出される生ごみについてでありますが,これの減量方法につきましてはいろいろな方法が紹介され,選択肢がたくさんあると認識をしております。具体的には,従来から普及しているコンポスターを使った方法,ダンボール箱を使った堆肥化の方法,EM菌を使った方法などを含め,枚挙にいとまがありません。
 これらの方法の中で,昨年本市が7,000セットを用意して市民に配ったダンボール箱の方法について,実施しただけで終わらせてはならないと考えますし,また,今年度,モニター調査を行っている電動生ごみ処理機についても,他都市では購入助成制度の実施により5%を超える世帯普及率になっているところもあるとのことですが,この方法も調査結果を踏まえた対応が必要ではないでしょうか。
 しかしながら,これらの方法もまだまだ改良の余地があると聞いており,絶対によいという方法はまだ見当たらないと思うのであります。
 そこで,質問でありますが,家庭から出る生ごみの減量化・資源化を総合的に進めるために,今後,具体的にどのような取り組みをしていこうとしているのか,お伺いをいたします。

平成16年第 2回定例会

◆林家とんでん平議員

 次に,生ごみの資源化についてです。
 日本では,2002年に,一定規模の事業所から出る生ごみの肥料化,飼料化など,有効利用を義務づける,食品循環資源の再利用等の促進に関する法律が公布されました。家庭生ごみは,全国的にも,一部の例外を除いてほとんど手つかずの状態であります。札幌市では,2003年度時点で,家庭系ごみは全体の約49万トンで,生ごみはこのうちの30%強の17万トンになっています。
 市長は,世界に誇れる環境の街さっぽろの実現を公約にしています。そのためにも,生ごみを燃やさないで資源化していく資源循環型社会を早急に具体化していく必要があるのではないでしょうか。
 岡山県船穂町では,自然界に生息,分布している微生物の中から,汚染された自然界を浄化する物質で悪臭対策にも効果がある有用微生物のEM菌を活用しています。同町は,2,300世帯のうち,現在,700世帯の協力を得て,300トンの生ごみを,このEM菌を活用し,肥料,飼料などへのリサイクルをしています。
 この300トンの生ごみを焼却すると約1,000万円の経費がかかります。このEM菌を活用し,コンポスト化により,600万円の経費削減につながっています。ここでの成功の秘訣は,町長のリーダーシップのもと,行政,市民,農家が連携し,種々,意欲的な研究実践行動と言われております。
 今,家庭ごみの循環社会システムを構築しているのは,全国的にも中小の都市だけで,札幌のような大都市では,いろいろな課題が指摘されながら,この家庭生ごみのコンポスト化は進んでいない状況が続いてきました。この札幌市が,ほかの都市に先駆けて,家庭生ごみの循環システムの事業化に先鞭をつけることは,環境都市さっぽろを標榜する本市にとって非常に意義深いことと考えます。また,今後,環境政策を展開する上で,この事業の困難は伴うものの,市民の皆さんの目に見える効果が期待でき,具体的な市民の市政参加の見地から重要と考えます。
 現在,札幌市でも,家庭生ごみの循環型社会をつくろうと,市民,NPO,農家の連携した動きが見られます。市民が,従来にない有用微生物の効果など,いろいろな勉強や学習を重ねながら,循環型社会の重要性と展望を話し合っています。また,去る5月25日には,有機コンポストの受け入れ農家を確保,家庭生ごみの分別協力市民の研修会も始まっています。しかし,こうした市民サイドの動きだけでは,事業化は困難であります。
 そこで,1点目の質問ですが,家庭生ごみのコンポストの有効性について,本市はどのように評価をしているのか,お伺いします。
 2点目は,家庭から出る生ごみ対策を軌道に乗せるには,広範囲な市民やNPOなどの参加,協力が重要だと考えます。これら諸団体に対し積極的に支援をしていくべきと考えますが,見解をお示しください。
 次は,事業系の生ごみについてです。
 事業系生ごみのコンポストは,札幌グランドホテルや札幌駅のJRタワーで既に行われています。グランドホテルでは,年間排出される約300トンの生ごみを,このEM菌を活用したコンポスト化によって,土地が疲弊化していた近郊の30軒の農家に良好な有機肥料を提供しています。その土地ででき上がった有機野菜や米を同ホテルは購入し,ホテル利用者が食べることで循環システムを構築しています。
 3点目は,このコンポスト化には,従来使用されていない有用微生物群がありますが,そのほかの手法も含めて検討を行い,公共施設において事業系生ごみの有効活用を進めていくべきと考えますがいかがか,お伺いをします。

◎副市長(福迫尚一郎)

 8番目にご質問がありました生ごみの資源化,また,9番目の生涯学習の市立大学の部分につきましては,私からお答えさせていただきます。
 生ごみの資源化について,まず,1点目と2点目を一括してお答えいたします。
 家庭生ごみのコンポスト化につきましては,ごみの減量化,資源化に大きく寄与するものと認識しており,各家庭において生ごみの堆肥化に取り組む市民がふえ,そうした活動が,地域,さらには全市へと広がっていくことが大切と考えております。
 このため,札幌市におきましては,これまでコンポスター購入助成,段ボール箱生ごみ堆肥化方法の普及など,市民の取り組みに対する支援を実施してきたところであります。今後につきましても,多くの市民,団体などに対して,生ごみの資源化に関する情報提供や交流の場の提供などの支援を行い,生ごみのコンポスト化が着実に市民に普及するよう努めてまいりたいと考えております。
 3点目の公共施設における生ごみの有効利用についてでありますが,現在,本庁舎,区役所,小・中学校,市立病院などから発生する生ごみにつきましては,民間の生ごみ資源化施設において,家畜の飼料への資源化に取り組んでいるところであります。また,本年度には,資源化施設の能力を約2割増加する計画があり,公共施設における生ごみの飼料化がさらに推進されるものと考えております。
 また,有用微生物群による生ごみのコンポスト化につきましては,今後とも情報収集を含めて検討してまいりたいと考えております。

平成17年第 1回定例会

◆原口伸一議員

 次に、生ごみの減量についてお尋ねをいたします。
 市長は、市政の方針となる新まちづくり計画の中で、世界に誇れる環境の街さっぽろを掲げ、緑30%アップ、二酸化炭素排出量10%削減など難題に取り組まれておりますが、私は、この新まちづくり計画の中で盛り込んでいるごみ減量10%削減について、その実現の可能性について、提案を含め、質問をしたいと思います。
 本市のごみ処理量は、平成16年度版の環境白書によりますと、家庭ごみ、事業系ごみ、合わせて年間95万トンで、前年度に比べ若干減っているものの、依然として大量のごみを処理しており、その処理に要する費用は294億円にも上っているわけでありまして、市民1人当たり1万6,500円もかかっているわけであります。
 そのごみ処理の内容を見ますと、清掃工場で焼却しているごみ量は69万トンと全体の7割を占め、その大部分は紙ごみと生ごみとなっております。この紙ごみ、生ごみは資源となる可能性があり、それをただ単にごみとして焼却してしまうことは、循環型社会の構築、さらには、二酸化炭素の排出量を削減し、地球温暖化を防止する地球環境問題への対応という時代の要請にこたえていないものであります。
 このような現状では、市長の掲げる世界に誇れる環境の街さっぽろの実現にはほど遠い状況であり、ごみ減量には、発生抑制はもちろんのこと、この紙ごみ、生ごみに着目したリサイクルの取り組みが必要であると考えるわけであります。
 特に生ごみは、家庭、事業所を問わず、私たちの生活から必ず排出されるものであり、食生活が多様化・高度化するのに伴い、生産・流通段階、さらには消費段階において、その発生量は膨大なものとなってきていることから、生ごみの減量・リサイクルには、さまざまな観点からの全市的な取り組みが必要であると認識しております。
 本市における生ごみ資源化への取り組みでありますが、家庭系の生ごみについては、市は、これまで、堆肥化器材の提供や、さまざまな堆肥化手法を紹介した生ごみハンドブックの配布などに取り組んできたところでありますが、いまだその取り組みは家庭内活用の域を超えておらず、ごみ減量の取り組みとしての全市的な広がりを持つには至っていません。
 また、事業系の生ごみに関しては、市内の飼料化施設で約1万8,000トンが資源化されているほか、石狩市内の民間堆肥化施設において生ごみ堆肥化が行われているものの、まだまだその量は少なく、多量のごみが清掃工場で焼却されているのが現状であります。
 さらに、平成12年に制定された食品リサイクル法の中で、食品関連事業者には、平成18年度までに再生利用等による食品廃棄物の20%削減の義務づけがなされ、生ごみの再生利用に関する積極的な取り組みが求められていますが、現実にはなかなか取り組みが進んでいないのが実態であります。一方、市有施設である学校からの給食生ごみについては、一部が家畜用飼料にリサイクルされているにすぎません。このように、現在の生ごみリサイクルの取り組みは、全市的にも不十分なものであると言わざるを得ない状況にあると考えております。
 私は、かねてから、生ごみは土から生まれた生産物であり、それをよい堆肥として土に返し、再び良質な作物の生産に寄与するという、いわゆる自然循環のシステムに大きな関心を持ち、議会の場でも提言してまいりました。また、このような取り組みを教育現場において、より実践的にわかりやすい教材として取り入れている都市もあることから、生ごみを資源として活用し、できた堆肥を学校敷地内での緑化推進等、子どもたちが体験し、理解することにより、家庭や社会に普及していくことを目指す環境教育にも取り入れていくことも訴えてきました。
 私は、平成8年に北海道EM普及協会を立ち上げ、理事長として、有用微生物群の活用による生ごみ堆肥化、小樽運河での水質浄化活動、自然農法普及など、仲間とともに指導、実践してまいりました。そして、平成15年4月にNPO法人格を取得し、責任のある公益組織として自立し、これまで、多くの会員とともに、道内の市町村においてEMによる環境浄化活動にかかわり、身をもって体験してきたところであります。
 EMによる生ごみ堆肥化の取り組みを行政が支援し、進めている具体的な事例として数多くの自治体がありますが、例えば、岐阜市では、平成11年からEM菌を活用した本格的な家庭系生ごみ堆肥化モデル事業を開始しており、現在、市内1,100世帯が密閉式容器でEM菌処理したものを、市が委託したNPOが回収し堆肥化をしております。これにより、ごみステーションの悪臭減少、衛生環境の改善に効果を発揮しているほか、堆肥は希望者に無料配布され、家庭菜園や花づくりに活用されているのであります。
 また、事業系の事例では、札幌市内のホテルや有名レストランなどから回収した食品残渣にEM菌などの資材を添加し発酵させることで、良質な有機肥料として農家に供給し、その農家で生産した米や野菜をホテルやスーパーに出荷するという資源循環型農業への取り組みがなされております。
 今、私は、EM菌による堆肥化を中心に述べてきましたが、生ごみの資源化については、日本国内の多くの都市で、いろいろな手法をもとに堆肥化や飼料化あるいはガス化などにより取り組まれている状況にあります。
 そこで、質問の1点目でありますが、まず、生ごみの資源化については、市が率先して、学校等公共施設から取り組むべきであり、また、食品リサイクル法による減量・再生利用が急務となっている事業系生ごみのリサイクルを促進するため、その環境整備を行政が積極的に行うべきと考えますが、市長はこれらについてどのように対応していくおつもりなのか、お伺いをいたします。
 次に、質問の2点目でありますが、全市的な生ごみリサイクルシステムを構築するためには、17万トンにも及ぶ家庭系生ごみの減量化が不可欠であります。そこで、市民が最も注目している生ごみの堆肥化を全市的な広がりを持った取り組みとするために、市長はどのような施策展開を考えているのか、お伺いをいたします。

◎市長(上田文雄)

 次に、生ごみの減量についてでございます。
 議員の実践に基づかれたご提案を含むご質問でございまして、私も大変参考にさせていただきました。
 ご質問にお答えをさせていただきたいと思います。
 1点目の事業系生ごみの資源化についてでございますけれども、生ごみを資源として活用していくことは、ごみの減量・リサイクルを進める上で極めて重要なことと認識をいたしているところであります。
 そのためには、学校等市有施設からの生ごみについて、率先して資源化を図ることが必要でありまして、特に学校の給食生ごみの資源化を図ることは、子どもたちへの環境教育のよき教材となるというふうにも思われますし、さらには、子どもたちを通じて各家庭における普及というものにも有効な手段になるのではないかと、このようにも考えております。
 さらに、食品リサイクル法の完全施行への対応も考慮いたしまして、学校等も含めて、事業系生ごみの堆肥化の実証実験を行うとともに、民間の堆肥化施設の設置を視野に入れた取り組みを進めてまいります。
 次に、2点目の家庭系生ごみの堆肥化の施策展開についてでありますけれども、堆肥化の全市展開を図るためには、堆肥の活用先が確保されることが重要でございます。また、市民が取り組む生ごみが資源として活用されることが実感できると、こういうような地域循環を構築することが必要であります。
 そのために、市民が行います植樹ますや公園への活用支援、また、農業活用を想定した場合の有効性、安全性の検証、さらには、市民への分別排出協力度、それから、回収する手法などについての検討などを行いますモデル事業を通じて、家庭内での取り組みを地域循環へと広めてまいりたいと考えているところであります。


  • 最終更新:2014-05-12 13:08:39

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード