福島県

福島県議会とEM

平成15年  2月 定例会


◆ 1番(櫻井和朋君)

 次に、水環境の保全についてお尋ねいたします。
 この4月から施行される猪苗代湖及び裏磐梯湖沼群の水環境の保全に関する条例は、未然防止の観点に立った画期的なものであり、今や国民的財産ともいえる磐梯エリアの水環境を良好なまま保全していくという県民の強い意思が表明されております。また、地元主導で創設された湖美来基金も順調に実績を伸ばすなど、この条例制定を契機に地域の取り組みも一段と活発化しており、今後の成果を期待するものであります。
 さて、県内には、猪苗代湖のみならず数多くの良好な水環境があります。白河藩主松平定信公が四民共楽の地として築造した南湖は我が国最古の公園として知られ、200年の時空に磨かれた景観は、松や吉野桜、嵐山の楓などとともに、四季折々に表情を変える湖面の美しさにより、地元の人はもちろん年間約65万人の観光客が訪れるなど、多くの人に親しまれています。しかし、近年は生活排水の流入などで水質が悪化しており、水質浄化に向けた地元の取り組みが進められています。
 こうした中、昨年38年ぶりに南湖の水を抜く池干しが行われ、また地元の方々や県立白河旭高等学校化学部が浄化に継続的に取り組んでおり、また白河第一小学校の児童はEM菌を使ったヘドロ分解のだんごをつくり、南湖に投入して水質の浄化を図り、さらに先月19日には、南湖の将来像を住民と行政が一緒に考える南湖周辺保全利活用計画策定ワークショップ初会合が開かれ、市民各団体、市、県から約60人が参加し意見を出し合うなど、市民ぐるみの浄化作戦が熱心に展開されております。
 このように、本県は、大小の変化に富んだ湖沼や多数の河川、地域に密着した湧水など、豊かなそして良好な水環境に恵まれており、また各地域において、これらの水環境を保全していくための活動が熱心に取り組まれております。
 21世紀は環境の世紀、そして水の世紀とも言われている中、私は、県内の良好な水環境を保全していくことは重要な課題であると考えております。
 そこで、本県の良好な水環境の保全について、県の基本的な考え方をお尋ねします。

◎知事(佐藤栄佐久君)

 櫻井議員の御質問にお答えいたします。
 水環境の保全につきましては、私は、環境の世紀と言われる21世紀においては、美しい環境を引き継いでいくことは未来の世代から託された我々の使命であると認識しており、本県の良好な水環境を将来にわたって保全していくことは、今を生きる我々の責務であると考えております。
 このため、水環境の恩恵の享受と未来への継承、健全な水循環の確保及び水環境を通した豊かな地域社会の形成の三つの基本理念のもとに、県民、団体、事業者等の幅広い連携と参加を得ながら、安全で清らかな水の保全や水源涵養機能の向上と豊かな流れの確保、多様な自然のある水辺環境の形成など、総合的な水環境保全対策を積極的に推進してまいる考えであります。
 その他の御質問につきましては、関係部長から答弁いたさせます。

平成20年 3月 企画環境委員会

(註:2008年3月8日福島民友ニュース報道後の福島県会議録閲覧から関連部分抜粋)

【参考:福島民友ニュースの報道内容は下記の通り。】
県が初の見解「EM菌投入は河川の汚濁源」 

 県は、河川や学校で水質浄化の環境活動に使われているEM菌(有用微生物群)などの微生物資材について「高濃度の有機物が含まれる微生物資材を河川や湖沼に投入すれば汚濁源となる」との見解をまとめ7日、郡山市で開いた生活排水対策推進指導員等講習会で発表した。
 県環境センターが、市販のEM菌など3種類の微生物資材を2つの方法で培養、分析した結果、いずれの培養液も有機物濃度を示す生物化学的酸素要求量(BOD)と化学的酸素要求量(COD)が、合併浄化槽の放流水の環境基準の約200倍から600倍だった。
 県が微生物資材の使用について見解をまとめたのは初めて。県生活環境部は「活動している方々と今後、幅広く議論の場を設ける。(今回の見解が)議論のきっかけになればいい」としている。EM菌使用の環境活動は県内の学校や団体で幅広く行われており、波紋を広げそう。
(2008年3月8日 福島民友ニュース)

委員会名 企画環境委員会
委員長名 平出孝朗
委員会開催日 平成20年3月10日(月)
所属委員 (副委員長)大和田光流
(委員)勅使河原正之 佐藤政隆 今井久敏 
佐藤金正  亀岡義尚 小澤隆 西丸武進
小桧山善継

◆亀岡義尚委員

 EM菌が河川汚濁の源との報道があったが、市町村、学校、市民団体等は、EM菌が河川浄化に有益であるとして地域づくり活動をしており、戸惑っている状況だが、EM菌は河川に悪影響を与える物質なのか、この場で確認したい。

◎水環境グループ参事

 EM菌というのはある業者の商品名であり、我々は微生物資材と呼んでいる。川に投げ入れることが、たびたび住民団体の環境保全活動として行われているが、水環境の専門家や研究者の間では、これには非常に問題が多いと以前から言われていた。投げ入れる資材の中身を知らないで行っていることも考えられたので、県で、その中身について、公害、環境の面からpH、BOD、COD、窒素、燐を測定したところ、pHでは酸性が非常に強く、BOD、COD、窒素は浄化槽の濃度の何倍にもなったので、環境汚染につながりやすいことから、住民の方々にどういうふうに行動したらよいのかとの観点から、分析データを情報提供した。市町村職員、市町村が進めている生活排水指導員が、水質汚濁につながるような行動を起こしては、我々としては情報提供をしないことによるミスリードになるので、きちんとしたデータを提供した。

◆亀岡義尚委員

 県の見解を示しただけか。強制力を持って事に当たっていくのか。

◎水環境グループ参事

 効能のある範囲内で使われるのは全然問題ないが、そのもの自体が有機物であるので、河川に流すような使い方はだめである。堆肥、浄化槽など限られた部分で使うには問題はないが、川に直接投げ入れるようなことはまずいのではないかとの問題提起をしただけであって、禁止することはない。科学的データを示し、皆で一緒に考えてみようとの問題提起である。

◆亀岡義尚委員

 現場は戸惑っているので、差し当たって教育委員会とのかかわりをどういうふうに整理していくのか。

◎環境保全領域総括参事

 今回は、勉強会の場で県の研究結果を発表したということで、県の見解とまでいくものではない。教育委員会への個別対応となるともう少し時間がかかるかと思うが、今後これをきっかけに、水環境保全には一体何が大切なのか考え、広く議論をしていきたい。

平成24年  6月 定例会

◆ 9番(椎根健雄君)
 民主・県民連合、郡山選出の椎根健雄です。昨年11月の県議選において初当選をさせていただき、今定例会で初めての質問をさせていただきます。
 月日の流れは早いもので、あの3.11の震災より今日ではや474日目となりました。いまだ原発事故の収束は先が見えておらず、その中で避難生活を余儀なくされておられます皆様に対し、心よりお見舞い申し上げます。これからの福島の元気を取り戻し、子供たちの笑顔のためにも、復旧・復興に全力でスピード感を持って取り組むことを改めてこの場で決意させていただき、福島県議会最年少の議員として初心忘るべからず、元気いっぱい早速質問に入らせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、再生可能エネルギーの拡充についてお尋ねいたします。

(中略)

 次に、農業の振興についてお尋ねいたします。
 私は、新潟大学の農学部出身であり、専攻は稲と大豆、作物学であります。農業を学んできた者として、今回の原発事故による福島県の農業の現状を見ると、悔しい、何とかしなければいけないとの思いでいっぱいであります。
 例えば飯舘牛の品種ブランドをつくり上げるまでにどれだけの苦労と試行錯誤があったか、何年も何十年も多くの方が人生をかけて行ってきたものが、あの日、あの一瞬でなくなってしまいました。私は、震災前、飯舘の方々と飯舘牛を中心とした食事会に参加したことがあります。あのおいしかった飯舘牛、そしてあの誇らしげに飯舘牛の話をしていた農家の方々の笑顔は今でも忘れられません。
 また、風評被害で先行きが見えない農林水産業においては、後継者不足がますます深刻です。今回の震災、放射能問題を契機に後継ぎを断念された方も多々いらっしゃいます。しかし、今回の原発事故を経験したからこそ感じるのであろう、放射能になんて負けないで頑張り続けている若者もまだまだたくさんいらっしゃいます。今回の原発事故で受けた傷は何としても回復し、この頑張る若者の思いを未来へとつないでいかなければなりません。そのためにも、世界に先駆ける農林水産業の放射能研究機関として県内大学に農学部、水産学部の設置は欠かせないものと考えます。
 矢吹町には農業短期大学校、私の地元、郡山市日和田町には農業総合センター、いわき市には水産試験場という県の施設もありますが、県内の4年制大学には農学部、水産学部がありません。周りの他県には国立大に農学部が設置されております。教育や研究は農業と一緒で、すぐに結果が出てくるものではありません。10年、15年先の福島県の未来を考えたとき、若者の育成、放射能の除染技術等の研究、対策が今こそ必要と考えます。
 そこで、農林水産業の放射能問題に対応した研究のために、県内に大学の農学部や水産学部の設置が必要と思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
 県は震災以降、放射性物質の除去・低減技術に関する研究開発を行い、農地における放射性物質の分布状況や農作物への移行調査等に取り組み、その成果は去る3月に郡山市で開催された国際シンポジウムにおいて数多くの発表がされたと聞いております。
 また、植物への放射性セシウムの吸収抑制効果を調べた試験において、ナラの灰をまぜ込んだ土壌でコマツナを栽培した場合、セシウム吸収が12分の1、EM菌をまぜ込んだ堆肥で栽培した場合で9分の1にセシウム濃度の移行係数が下がったとのデータを公表しました。これは、現在とられている塩化カリウムをまぜ込んで栽培する手法より、より大きな吸収抑制効果があることを示しています。今後も安心・安全な農作物の生産には、放射性物質除去・低減技術の開発において県が果たすべき役割は非常に大きなものがあると考えております。
 そこで、これまでに得られた結果をもとに、県は農業分野における放射性物質除去・低減技術の研究開発についてどのように取り組んでいるのかお尋ねいたします。
 次に、河川、湖沼の汚染状況についてであります。
 県が発表しておりますデータによりますと、現状、飲み水などに放射性物質は検出されておらず、飲料水の安心は確保されております。しかし、雨や雪解け水などにより、原発事故から時間が経過するにつれ、徐々に放射性物質が河川や湖沼へ流れ込んでしまっている現状もデータより見えてきています。今後も飲料水、農業用水等の利用も含め、河川と湖沼におけるしっかりとした汚染状況の情報収集は必要となってくると考えます。
 そこで、県は放射性物質による河川や湖沼の汚染状況の確認についてどのように取り組んでいるのかお尋ねいたします。

◎農林水産部長(畠利行君)

 お答えいたします。
 放射性物質除去・低減技術の研究開発につきましては、農地の反転耕や表土削り取り、果樹の樹皮削り等による除染技術などを開発し、これらの成果は国際シンポジウムにおいて国内外の研究者から高い評価を受けるとともに、営農指導や国の除染関係ガイドライン等に広く活用されております。
 引き続き、食品の新基準値に対応するため、カリウム施用によるセシウム吸収抑制技術や血液による牛肉中セシウム推定技術の確立など、実用性の高い研究開発に取り組んでまいります。



  • 最終更新:2014-05-11 05:07:35

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