羽生市

平成10年  9月 定例会

◆二番(落合信夫議員)

 また、一般ごみの中で約三〇%を占めております生ごみについてであります。生ごみのリサイクルは、ごみ減量、資源の有効利用にとって欠かすことができません。当市では生ごみの肥料化としてコンポスト設置に対して助成制度を行なっております。これらを一層推進することはもとより、生ごみの肥料化を目指した取り組みが求められていると思います。幸い羽生市は農業のまちでもあります。肥料の利用先には事欠かないものと考えるものであります。実用化に向けて研究、検討が必要であると考えますけれども、いかがなものか伺うものであります。

◎ 兼杉明経済環境部長

 次に、生ごみの堆肥化につきましては、市長が所信表明で述べましたようにごみ減量化とリサイクルの推進からも取り組んでいきたいと存じているところでございます。現在当市におきましては、平成四年度から生ごみ処理容器いわゆるコンポストの購入費補助を実施し、ごみの減量化を推進しております。コンポストにつきましては、各地域でお話を聞きますとうまく堆肥化できない、発酵臭ではない腐敗臭が気になるなどうまくいかない事例を耳にすることがありますが、発酵促進剤の上手な使い方などご説明申し上げているところであります。

 また、EM菌によるぼかしを利用した堆肥化については、消費生活モニターによる数カ月間に及ぶ体験実習の結果、ある程度の広さを有した家庭菜園等堆肥を利用する場所が近くに確保されないと継続できないこと、ぼかし器を用意しなくてはならないこと等を実施する方の理解と根気が必要となります。その他最近多く見受けられます家庭用生ごみ処理器や一定の地域または集落として生ごみの堆肥化ができないものか、関係機関等との協議をはじめ調査研究を行なっていきたいと存じます。

◆十八番(岡戸稔議員)

 市長と落合議員の白熱した議論の後でちょっと気おくれがいたしますが、ご質問申し上げます。
 通告に基づきまして一般質問を申し上げます。
 有機農業情報発信基地としての地域産業振興拠点施設いわゆる田園リゾート施設について三点ほどご提案申し上げ、ご見解を伺いたいと思います。
 第三セクター方式による田園リゾート施設の構想とのことでございます。そこには農産物直売所、農畜産物加工施設、地ビール工場、レストラン、売店、農業体験等及び広場ということでございます。東京近郊の農業の生きる一つの方向として多少の問題点はありますが、夢のある施設であると期待いたしております。そこで、私はこの施設に有機農業の情報発信基地としての性格を付加することをご提案申し上げたいと思います。
 広島大学の城雄二教授は、その著書「食べ物とウンコ」の中で、「動物が植物を食べウンコを出す。それをミミズや微生物が食べウンコを出す。それが土になり植物がその土から栄養分を吸収する。植物のウンコは葉っぱや果実や根っこです」と言っています。進化論で有名なダーウィンの言う説、地球上のよく肥えた土はすべてミミズのふんからできているを引用し、人間を含む動物と植物と微生物はお互いが循環し合い補完し合っているということを言っております。
 こんな中で人間のウンコは昔、肥だめで発酵させ土に返していましたけれども、現在はし尿処理場で脱水し、焼却処分をしているのでこの循環サイクルがなくなってきているといわれております。このためやせた土地は化学肥料が必要になり、また化学薬品が必要になり、それが土の中の微生物を殺し、土が死んでいくという悪循環をつくってしまったということであります。
 ここでまず第一点として、これは今、落合議員の方からも出ておりましたけれども、ちょっと違うと思いますが、人ふんや家畜ふん、生ごみや下水汚泥を有機肥料に変える堆肥センターはできないものかと考えますが、当局のご見解をまず伺います。
 有用な微生物の分解力を利用すると腐敗するのではなく、発酵をして汚物の臭気も少なくなるということになるそうであります。そうすればし尿処理場の臭気公害や移転建設問題、あるいは畜産業の家畜ふん尿の臭気とハエ公害も減少することになろうかと思います。
 また、先ほどの生ごみの分別の話がございましたけれども、羽生市ではこれを分別することにより肥料化することによって約三〇%のごみ減量という大きな効果が期待できるわけであります。現在下水汚泥も業者に費用を払って処分依頼しているわけであります。そして業者はそれを引き取り、有機肥料にしているわけであります。堆肥センターがあればその必要もなくなることになり、一石三鳥、四鳥にもなろうかと思います。そして、これらの堆肥センターでできた有機肥料は、市内の希望者に無料で分けてあげたらよいと思います。
 二点目の提案として、これらの有機肥料から出た有機野菜や有機穀物や花卉を農産物販売所で販売する計画が考えられると思いますが、この点についても当局のご見解を伺うものであります。
 私の知人ですが、東北高速道の羽生サービスエリアで野菜を販売しています。その新鮮さのためか東京方面に帰る人たちに大変人気があり、売れているそうであります。ですから、羽生サービスエリアでの販売や水郷公園を訪れる人たちを対象とした田園リゾート施設や、あるいはほくさい農協の販売所、あるいは一二二号線沿いの今度できる道の駅等での有機野菜の販売は可能だと思います。
 私は先日一七号線沿いの岡部にある道の駅に立ち寄ったことがございますが、近郊の農家の方が自分でつくった野菜を自分の写真、住所、氏名、そしてどんな考えでつくっているのかというメッセージを添えて販売しており、大変人気を博しているようであります。農家の専門家でない私の提案するほど単純な構図にはならないかもしれませんが、また化学肥料や化学薬品をすべて否定するわけではありませんが、有機農業は研究に値する課題であると考えます。
 そこで、三点目として田園リゾート施設の中に微生物活用による有機農業の研究実験施設を併設するという提案に対するご見解をお伺いいたしたいと思います。

 これは羽生実業高校の農業科との連携や、羽生市出身で微生物研究の第一人者である堀越宏毅教授の協力を仰ぐとか、先ほどの経済環境部長からもございましたけれども、琉球大学の比嘉教授の開発した有用微生物といわれるEM菌を使うことも可能だと思います。これらを総合して田園リゾート施設を有機農業の情報発信基地として地元の農業者はもちろん、近隣の人々にも役立つという施設の性格も付加できないかご提案いたしまして、私の一般質問とさせていただきます。

◎兼杉明経済環境部長

 十八番、岡戸議員の有機農業情報発信基地としての地域産業振興拠点施設についてのご質問のうち、まず蓄ふん、人ふん、下水汚泥等の利用についてご答弁申し上げます。
 近年農産物に対する消費者ニーズは、健康で安全なものへ移行し、その需要も高まっております。一方、生産の面では流通の高度化が進み、産地間競争が激化しており、産地として生き残るには有機栽培による農産物への付加価値化が求められております。
 このようなことから蓄ふんの利用については、農業構造改善事業を進める上で設置いたしましたいきいき羽生塾の中に土づくり部会を設け、地域の資源である蓄ふんともみ殻等を利用した有機肥料づくりについて検討を行うとともに、有機栽培による農産物であることを表示し、消費者に提供するための利用要素の測定内容等の導入についてもあわせて検討しているところであります。
 また、し尿については現有の施設では活性汚泥処理方式で処理しており、その家庭で発生する脱水汚泥のリサイクルについては立地条件、施設の機能の面などから現在焼却し、処分しております。しかしながら、今後市の処理施設の整備計画に当たっては、これらをリサイクルできる機能を持たせた施設の検討が必要であると考えております。
 次に、下水汚泥の利用でありますが、現在の水質浄化センターでは汚水を処理する上で発生する汚泥は年間約千百トンであります。これらは栃木県内の産業廃棄物の中間処理業者において処理され、有機肥料としてリサイクルされております。
 次に、生ごみ等の利用についてでありますが、市内の花卉生産農家等から堆肥の利用の要望もありますので、先ほど二番議員の質問にご答弁申し上げたとおり、ごみの減量とリサイクルの推進の観点からも生ごみの堆肥化に取り組んでまいりたいと存じます。
 また、農林公園内においても事業活動に伴って発生する生ごみ等のリサイクルについてもあわせて検討したいと存じますが、においがきつい点が先進施設の問題となっておりますので、この点についても検討したいと存じます。
 次に、有機野菜、有機穀物等の販売について申し上げます。
 冒頭で申し上げましたとおり有機農産物の需要は年々高まっており、当市においては有機栽培に賛同する農家二十三戸が羽生農法研究会を結成し、有機栽培により米づくりを行なっており、消費者との交流会において好評を得ております。
 このようなことから、当市の農業は県の方針である有機百倍運動などの環境保全に貢献する農林業に沿って振興を図るとともに、三田ケ谷農林公園においては、有機栽培による農産物の販売とともに有機農業の情報の発信の基地として機能を持たせたいと考えております。
 今後施設整備が見込まれる道の駅や東北自動車道羽生パーキングエリアなどにおいての販売についても検討を行い、極力販売チャンネルを多く確保し、当市の農業の振興を図ってまいりたいと存じます。
 以上で答弁とさせていただきます。


  • 最終更新:2015-03-16 13:43:30

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード