調布市(2)

平成15年 第1回 定例会

◆3番(武藤千里 議員)

 まず、循環型社会についてです。循環型社会についての生ごみ堆肥化と循環型社会について幾つか提案をさせていただきたいと思います。
 この内容は、私たち日本共産党がごみ問題についてとか、日々の暮らしについてのアンケートを一般の市民の皆さんにお願いしたりとか、私自身が地域の皆さんの声をお聞きする中で意外と多かった問題で生ごみの堆肥化のことがありましたので、取り上げさせていただきたいと思って、やらせていただきます。
 調布市は循環型社会を目指して、ごみ問題ではごみゼロ社会を目指すということでごみ懇談会などを実施されています。私は、二枚橋の建てかえ問題やごみ新処理施設の問題などもある中で、埋め立てる、燃やすというごみ処理方法を最低限に半減していくという目標を持って取り組んでいく必要があるのではないかと思っています。これまでも調布市は他市に先駆けて市民と協働してごみ減量、リサイクルの推進を進めてきました。さらに、今後、ごみゼロを目指していく上でどんな策があるのか、議会でも市民の懇談会でもさまざまなアイデアが出されているところです。私は、可燃ごみの約15%を占める生ごみの資源化について、何点か提案したいと思います。
 現在、調布市では瓶、缶、ペット、古紙など数種類の資源を分別収集し、さらに、クリーンセンターで分けて資源化を進めています。不燃ごみではプラスチックの分別収集も検討されているようです。
 では、焼却処理している可燃ごみの方はどうなっているのでしょうか。組成内容を見ると、紙類が60%、生ごみが15%です。紙ごみは既に資源として収集しているので、市民の皆さんに分別を徹底してもらうようさらにPRすることでもっと減らせると思います。生ごみは一部家庭でコンポストや生ごみ処理機で自主的に処理をしている方がいらっしゃいますが、圧倒的多数の方は可燃ごみで出していらっしゃいます。
 ごみの問題で市民の皆さんの御意見を伺うと、生ごみ堆肥化について、市民の皆さんからしばしば御意見をいただきます。農家と連携することはできないのでしょうかとか、庭がないのでコンポストが使えない、別の方法はないか、などなどです。現在は、可燃ごみで出している方たちも生ごみを資源化できるならと考えている方は結構いらっしゃると感じました。現在、調布市内の生ごみ堆肥化の実態はどうなっているでしょうか。現在、市民、事業者のレベルで生ごみの堆肥化の取り組みも進められています。コンポストや家庭用生ごみ処理機のほかに、私はきょう持ってきたんですけど、この密閉容器でEM菌ボカシというのを使って堆肥化しています。このやり方は、庭がない方でも──先ほど49平米は狭いというお話があったんですけど、私のうちはその狭い49平米の近い53平米ぐらいの賃貸住宅なんです。そこの狭い台所でもやれる方法で、この方法は生活文化部で、たしか昨年主催された生ごみ堆肥化の学習会でも市としても紹介されていたもののようです。
 また、市内のスーパーでも野菜や肉、魚、総菜の残り物などを生ごみ処理機で堆肥化し、市内の農家に無料で提供しているところもあります。調布市でも、家庭の生ごみ処理機などに対する補助や都営金子団地での集団処理、また学校での給食の生ごみ堆肥化などに取り組んでいますが、市民、事業者、行政が個々ばらばらにやっているということもあり、線でなくて点の取り組みで終わっていると思います。特に、家庭の生ごみは個人の努力に任されているために、なかなか堆肥化は進みません。コンポストを使っている人も虫がわくなどの理由で途中で断念する人も多いようです。また、集合住宅に住んでいる人はコンポストは使えませんし、別の方法で堆肥化しても堆肥を活用するには限界があるので広がりにくい問題もあります。
 家庭での生ごみ堆肥化の最大の問題は、堆肥化したものの行き先です。私自身も取り組んでいるんですけれども、一緒に堆肥化をする仲間の人たちと共同して引き取ってくださる方のおうちに持っていって、そこで処理をしているという現状になっています。生ごみを燃やさず、堆肥化したい市民、生ごみ堆肥を使っている農家、どちらも調布市民です。既に事業者と農家は共同して生ごみ堆肥の取り組みを始めています。市民と農家が結びつくことができたら、究極の循環型社会に大きく前進するのではないでしょうか。しかし、実際はさまざまな課題があります。各家庭でどこまで分別できるのか、大量に堆肥化するための場所はどうするのか、堆肥化されたものの塩分や油分、さらにそのほかの成分はどうなるのか、安全性があるのかなどです。
 家庭の生ごみではありませんが、先ほども御紹介しました市内のスーパーの生ごみ堆肥について視察してきました。ここでは電気を使っての生ごみ堆肥機を使っていました。野菜、魚、肉などのほか、総菜の残り物も入れています。1日約140キロを堆肥化して、年間約54トンを処理しているということでした。堆肥は市内の農家の方がその日も引き取りにいらっしゃっていました。
 また、農家との連携を目指し、生ごみ堆肥化を市の事業として取り組みを始めた自治体もあります。山形県長井市は大変有名なんですけれども、こちらの方では、分別、それから運搬、堆肥センターという先ほど述べましたような問題をさまざまクリアーをして、みずからのところで出た生ごみを自分たちのまちの農家の方々が使い、それを使ってつくった野菜は自分たちのまちで販売してそのまちの人たちが食べるという本当の循環型社会を今、つくっていらっしゃるということでした。
 また、そのほかには、人口217万人の名古屋市では平成13年からモデル事業が始まっています。市内4ヵ所で450世帯の生ごみを回収し、堆肥化しています。異物の混入については、日量200キロとして数グラムという程度で、堆肥化の行程に影響はないということです。堆肥は生ごみを提供している市民に還元しているほか、希望者に譲っているそうですが、希望者の数に足らないそうです。
 また、生ごみ堆肥を使った有機栽培の実証事業もしているということです。ほかの有機肥料と比較した結果は特に遜色ない成果が得られたというお話をお聞きしました。名古屋市は来年度から450世帯を1,000世帯にふやし、さらにモデル地区をふやしていくということでした。また、堆肥の利用先として農業が盛んな近隣の市町村との情報交換を行っていきたいとのことです。
 そのほかのまちでも、取手市とか岐阜市などでもモデル事業を実施していますし、堆肥化を進める市民団体と連携してそういったモデル事業を進めている自治体はたくさんあります。そういう先進的な事例を調べ、調布に合った方法を見つけ出す努力をしていこうではありませんか。名古屋市の取り組みは、人口の多い都市部での生ごみ堆肥化がどのように広がるのか、今後が楽しみです。
 コスト面は、名古屋の場合、今のところ度外視して実施しているとのことですが、長い目で見れば、燃やすごみを減らし、そこから出る灰も減らして燃やすための燃料も減らし、焼却場や埋立地の両方の分担金も減らすということを考えれば、将来的にはコスト削減につながるのではないでしょうか。調布市として循環型社会、ごみ減量の視点から、こういったものの実現に向けて、生ごみ堆肥化に関し、市としての本格的な検討をすることを提案します。また、考え方をお聞かせください。御答弁をお願いいたします。
 次に、具体的な生ごみ堆肥化の取り組みについてです。
 調布市はISO14001を市政運営の仕組みに活用し、全庁を挙げて取り組んでいます。先日は八雲台小学校、北部公民館が環境問題に積極的に取り組み、調布版14001の認定もされました。私の参加している環境保全審議会でもこういった取り組みをもっと全市に広げていこうではないかという話がしょっちゅう出ます。そういった観点から幾つかの提案をさせていただきます。
 1つ目は、集合住宅での生ごみ堆肥化です。現在、生ごみの堆肥化を行っている集合住宅は、先ほどお話ししました金子都営住宅がありますが、市営住宅でも実施してはどうでしょうか。これから市営住宅の建てかえなどが行われます。その際に、生ごみ堆肥化の施設を設置することを提案します。既に民間のマンションなどではこういったことを環境対応型などとし、取り組んでいるところもありますが、市営住宅でこそ実施してほしいものです。
 2つ目は、学校や公共施設での生ごみ堆肥化の拡充です。
 市役所の食堂を初め、学校給食、保育園、特別養護老人ホーム、知的障害者援護施設、たづくりなど、調布市の公共施設で生ごみ堆肥化を取り組むことはできないでしょうか。八雲台小学校など、幾つかの学校で既に生ごみ処理機を使っていますが、そのほかの施設にも拡大することで大幅なごみ減量にもつながるのではないでしょうか。また、市内の大型スーパーには生ごみ堆肥化のシステムをつくることを強力に呼びかけ、自家処理するように働きかけることもお願いしたいと思います。
 3つ目は、生ごみ堆肥化容器などへの補助制度の充実です。
 コンポスト以外に、先ほど御紹介しました、こういった小さなおうちの中でもやれるような生ごみ堆肥化の処理機、電気を使わずに使えるものも含めて、調布でも行っているものなんですけれども、小金井市や狛江市などではバケツの密閉容器を使っての堆肥化を積極的に支援し、密閉容器は希望者に市が貸与しているそうです。私自身は、これはなかなか店頭で市販されていないので、こういうことを取り組んでらっしゃる方々から間接的に買わせていただいて手に入ったんですけれども、なかなか手に入らないという難しさがあるので、こういった事業は大歓迎だなと思っています。
 やりたいけど、やり方がわからないという市民や、やり始めたけど、うまくいかないという市民のために生ごみ堆肥化を積極的に取り組んでいる市民団体などと協力をして、市として生ごみ堆肥化の学習会を月1回のペースで開いているということです。調布市でも有志の市民の皆さんが自主的に生ごみ堆肥化の学習会を開き、堆肥化を広げています。私も市報でこの学習会を知り、参加させていただき、生ごみ堆肥化を始めた1人です。
 市としての生ごみ堆肥化容器の市民への提供や補助制度の見直し、市民の皆さんとの協働の堆肥化推進運動など、新たに検討することを提案します。
 4つ目は、家庭で出た剪定枝などの資源化です。
 現在、公園の樹木の剪定枝は市のチップ車でチップ化され、それをある一定の場所に集めて市民の方が取りに行ったり、農家の方が取りに行ったりということができるようになっています。狛江市では、既に家庭の剪定枝の収集を始めています。こちらの方は、市内の植木屋さんに委託して、週に1回申し込みがあった家庭に委託業者の方が取りに行くということです。チップ化までを業者がして、チップは市で袋詰めしたものを希望者にあげているそうです。このチップは大変な人気で、希望者全員には行き渡らないほどだそうです。この方法は地元業者の皆さんへの支援にもなると思いますし、また、そのほかにも別の方法としては集積場所を決めて、各自がその場所に持ち込んでもらう方法などもあると思います。このチップ化されたものは、先ほどからお話ししている生ごみ堆肥化の際にも使うものになりますので、そういう形でも再利用がどんどん行われるものだと思います。
 ただいま提案いたしました幾つかの問題について、それぞれ御答弁をお願いいたします。

◎長友貴樹 市長

  武藤議員から大きく4点の御質問をいただきましたので、私からは、生ごみ堆肥化と循環型社会についての御質問にお答え申し上げます。
 ごみゼロ社会を目指した循環型社会の確立のためには、ごみの発生抑制と排出抑制に重点を置いた、ごみ減量とリサイクルが一体となった対策が重要と考えております。
 その中で、生ごみの堆肥化については、排出抑制の観点から、効果的な施策の1つであると同時に、生ごみの循環型システムとして大変重要な施策と認識しております。そのため、生ごみ処理機の普及に向けた補助金制度はありますが、堆肥化しても農家では油や塩分、中性洗剤等が混入しているため、安心して肥料にできない。また、集合住宅では堆肥の処理先が確保できないなどの問題があり、なかなか普及できない状況がございます。
 したがって、御質問の、行政、市民、農業者等が連携し、生ごみを地域で循環するシステムを構築することが難しいという実態にございます。今後は、これらの問題をどうクリアするかの検討を進めるとともに、当面、処理機の補助対象や金額について見直しを図り、取り組みを深めてまいります。
 このような取り組みに関しては、この間実施いたしましたごみの懇談会の場でも御質問がいろいろなところで出て、同様のことをお答えしているわけでございますけれども、市営住宅など公営住宅での取り組みでございますが、平成10年5月から金子団地において大型生ごみ処理装置をモニターとして設置し、自治会が主体となって管理し、その堆肥は団地内の花壇等で利用されているところです。
 御質問の、新築する市営住宅につきましては、管理体制等について協議させていただき、設置の可能性について検討してまいりたいと存じます。
 また、学校等の公共施設についてですが、現在、第二小学校を初め、6校が導入しております。教育機関での導入は、子供のころから環境問題を実践で学ぶことができる貴重な機会であると思っておりますので、関係機関と調整を図りながら導入を検討してまいります。今後、生ごみ処理機における堆肥化装置や保管容器等の補助制度の充実、家庭用剪定枝チップ機の貸し出し制度を検討し、資源化の促進に努めてまいる考えでおります。

◆3番(武藤千里 議員)

  私は、一応与党ですけども、再質問させていただきます。2点ほど再質問させていただきます。
 1つは、最初に質問させていただきましたごみ堆肥化と循環型社会についての部分で、先ほど御答弁にもありましたように、いろいろな難しい課題というのは確かにあると思います。業者の方で出たごみを業者が管理して、例えば食堂とかで出たごみを食堂が管理して、生ごみ堆肥化するのであれば、そこの従業員がどれだけそれを徹底するかということなんですけど、市民一人一人になりますと、その市民一人一人がどこまで意識を持ってできるか、きちっと分別できるかどうかというところにかかわるので、おっしゃることはごもっともだと思います。東京都の肥飼料検査所というところが立川にあって、そこで、一体どういう成分なのかということを自治体の方で頼めば調べてもらえるという機関もありますので、そういうところも自治体としても活用したりしながら、ぜひとも、難しいからこそ、市が本格的に循環型社会を調布市でもつくっていくために、どう構えるのかというところが私は生ごみ堆肥化については必要だと思います。
 先ほど、市長もみずから懇談会に出席されて、市民の皆さんからそういった御意見もお聞きしているし、そういう話もしてますとおっしゃっていましたので、そういった、市民の皆さんとひざを突き合わせて、また調布市での環境指針を持って、今、庁内でも全庁的にISOの問題も含めて取り組んでらっしゃると思いますので、そういったところからこの循環型社会とごみ減量の問題についての、どういう構えで、調布は先ほどもあった、農業も今顕在な中で、時間はかかったとしても何を目指してやっていくのかというところがすごく大事なのかなと思っていますので、先ほどの中では難しいところがいっぱいあるということはわかったんですけれども、そこのところのお考えをもう一度お聞きしたいと思います。

◎岩崎文雄 クリーンセンター所長

  再質問で、特に一般家庭から出る生ごみの堆肥化について御質問いただきました。議員が、難しいことであるのは理解するけれども、何とか取り組むことが必要ではないかという御趣旨かと思います。市長の答弁の中にもありましたように、特に一般家庭からの生ごみの中には堆肥として活用できないような成分が含まれているということで、私どもも何とか堆肥化を進めていきたいという気持ちはあるんですけれども、なかなか浸透していけない難しい要素があるということは答弁させていただきました。
 しかし、議員の方からも、それでも他の自治体で取り組んでいる幾つかの事例もお示しいただきましたんで、今後どうクリアしていけばそういう循環の、一つのシステムに乗れるのか、その辺を十分検討してまいりたいというふうに思います。

平成16年 第1回 定例会

◆14番(広瀬美知子 議員)

 それから、促進員については御検討いただけるとのことなので、ぜひまたよろしくお願いいたします。私、ちょっと長くなって申しわけないんですけれども、埼玉県北本市でのこの促進員に近い形を、これはいいなと思ったものがあるので御紹介させていただきます。ごみ減量等推進市民会議という600名ほどの組織のようですが、これは目的に賛同する市民はどなたでもよいと。団体、自治会からの推薦者、市内の事業者からの推薦者、それから廃棄物収集業者、市の職員などで構成されておりまして、専門委員会を持ち、ごみ減量の専門委員会、リサイクルの専門委員、農園管理の専門委員会とか、こうした専門委員会を持って、そういう情報収集だとか研究を深めていくことのほかに、さらに自治会の推薦者に対しては支部を構成しておりまして、行政を地域でサポートするような活動をしっかりとやっている組織のようであります。
 こういった市民会議が年1回、地域を巡回しながら市民大会を開催しているようでございまして、ここでは小学生のポスターや中学生の標語の優秀作品表彰や寸劇によるごみ問題の説明とか体験発表、子供たちの応募作品や生ごみ処理機やEMぼかしのつくりだとか、世界のトイレットペーパー展など、大変いろんなユニークな活動をしております。また、市民農園でつくられている野菜などの展示だとかさまざまな工夫が、やはり本当にたくさんの市民の方が幅広く集まってこられると、こんないろんなアイデアが出るのかといういい例なんじゃないかなと思っておりましたので、ぜひこの促進員制度についてはまた御検討をよろしくお願いいたします。
 私もこの間、市の職員の方やまた市長が、先ほども言いましたように全市を回る説明会や懇談会や駅頭の呼びかけなど、大変お疲れになったかと思います。戸別収集とプラスチックの分別収集も始まり、また今度は4月は有料化ということで、息継ぐ暇もなくずっと働き続けてこられたと思いますんですが、今回の質問は6月議会にやろうかなとも思ったんですけれども、先ほども言いましたように、こういう大きな関心が寄せられているという時期にこそ、ぜひ取り組みの準備をしていただきたいなということで質問させていただきました。ごみ非常事態宣言から今日まで、またこの取り組みを中心的に担ってこられた中根前環境部長も助役に就任されたことでありまして、私にとってはまことに心強い限りでございます。機を逃さず特徴あるこうしたごみ減量、リサイクル自治体の顔づくりにぜひそのキャリアを生かしていただきたいと思います。


  • 最終更新:2015-04-15 09:30:56

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