長野県

長野県議会とEM

平成 9年12月定例会本会議
◆7番(奥村剛 君)県政会・大町市の奥村剛でございます。

 温暖化防止に関連して、生ごみの減量化の問題があります。生ごみの減量化は、ごみの焼却による二酸化炭素の排出を抑制する上からも重要なことでありますが、そのほかにもさまざまな環境問題の解決に貢献するものであります。
 生ごみの減量化について、私は、県において有用微生物群を活用したEMボカシの積極的活用を提案いたします。
 有用微生物群とは、英語でいえばエフェクティブ・マイクロオーガニズムス、略してEMと呼ばれています。この有用微生物群は、乳酸菌や酵母菌、光合成細菌など約80種類の微生物を集めて共存させた複合培養液のことであります。この有用微生物群・EMは、琉球大学の比嘉照夫教授が開発し、農業を初め環境、医療など幅広い分野でその効用が期待されております。また、微生物活用の研究は信大農学部などでも行われており、成果を上げていると聞いております。
 比嘉教授は、「日本の土壌のほとんどが農薬や化学肥料、除草剤に侵され腐敗型になっているが、このような問題のある土壌を蘇生の方向へ転換させる力を持つのがEMである」と主張しております。
 EMは、稲作や畑作、果樹栽培でも目覚ましい実績を上げ、さらには養豚、養牛の排せつ物の悪臭を除去したり、ごみ減量にも貢献しています。
 EMを使うと、環境の中に抗酸化物質が多くなり、抗酸化波動が高まると、有用な分解菌の密度も高まると同時に合成系の生産者的微生物の活動が活発となります。このため、土壌は徐々に健全で肥沃になり、環境もきれいになるといわれております。
 「このEM利用により、農作物の収量は従来型の有機農法はもとより農薬や化学肥料を使ったものよりもはるかに多くなり、また、量だけでなく味もよく、栄養的によいものが収穫される」と比嘉教授は主張しております。
 現在、このEMを使った農法は、日本よりも海外で積極的に取り上げる国がふえています。アジアでは、タイ、マレーシア、インドネシア、韓国、中国などがEMを使った農法を始めています。また、南米のブラジルが現在、世界でも最もEM使用量が多くなっています。
 このEM農法については、なぜこのように収穫力がふえるのか、その科学的根拠が不明確であると指摘する向きもありますが、実際に数多くの実績を上げ、その普及が世界的に広がっていることは、客観的な事実であります。
 そこで農政部長にお尋ねいたします。
 県においては、このEMを使った農法についてどのようにお考えになっているのか、また、今後、長野県内において積極的に活用すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 EMの活用は、農業分野にとどまりません。温暖化防止やダイオキシン対策を初め公害や環境汚染問題の解決にも大きな力を発揮し始めています。全国的に広がり始めているEMボカシによる画期的な生ごみ処理がその一例であります。
 EMボカシについて、岐阜県可児市の例を紹介させていただきます。岐阜県可児市は、名古屋のベッドタウンとして、ここ10年来、人口が増加するとともに住民が排出する可燃ごみがふえ、現在あるごみ焼却場の能力が限界に来ていました。新しい焼却炉の建設計画を立てたところ、建設予定地の住民から猛烈な反対の声が上がりました。ところが、この市民の反対運動のグループは、ただ単に反対の声を上げるだけでなく、グループのある一人がEMが生ごみ処理にも役立つことを知って、まず自分自身で試した後、市役所に米ぬかをEMで発酵させて乾燥したボカシを使ったらどうかと提案したのであります。
 ボカシは、もともと農業の専門用語で、作物などに生の有機肥料をやると肥料焼けを起こして根が枯れてしまうため、微生物を含んだ土や稲わらをかけて生の有機肥料の成分を和らげることをいいます。EMを利用してつくったボカシはEMボカシと呼ばれております。
 可児市では、このEMボカシを採用して生ごみ減量作戦を実施しました。そして、市民の間にEMボカシが普及し、平成3年度には年間約1万3,900トンあった可燃ごみが平成4年度には1万2,600トンに減りました。それまで、何もしなければ可児市では間違いなく年間6%ずつ可燃ごみがふえていたのですが、EMボカシを採用することにより約9%も前年比で減量できたのであります。可児市の場合、ごみ処理コストはトン当たり2万2,000円かかっています。1,300トンの減量ですから、これだけで約2,860万円もの節約ができたわけであります。
 岐阜県可児市の試みはたちまち全国に知られることとなり、可児市には各地から市民団体や自治体の人たちがやってきて見学しては、それぞれの地方で積極的に取り入れ始め、今では可児市を上回る成果を上げている市町村が多数出ております。長野県においては、駒ケ根市などでEM利用が進んでいると聞いております。
 このEMボカシの採用によるごみの減量化を実施しているのは市町村や市民団体であり、都道府県レベルでは余りないそうです。したがって、全国に先駆けて県を挙げてこのEMボカシを活用すれば、ごみの減量化が図られ、温暖化防止等さまざまな方面で多大なる貢献をするものと考えます。
 そこで生活環境部長に質問いたします。
 このEMボカシについてどのように考えていらっしゃるか、また、その積極的な活用についてマニュアル指導や補助金制度の創設など前向きに検討すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 また、このEMを利用した環境教育について教育長にお尋ねいたします。
 大町北小学校の子供たちは、学校内にある通称ひょうたん池がどぶ臭く生ごみがたまる池となっていたのを何とかきれいにしたいと、さまざまな試みを行いました。しかし、当初は余りその効果があらわれなかったのですが、EMを利用した浄化を始めると目に見えてその効果があらわれ、きれいな池になっていきました。EMは、農業やごみの減量化だけでなく、水質の浄化にも役立つものであります。
 ともすれば、環境教育は活動による効果をなかなか実感することができないものでありますが、このEMを利用したひょうたん池の浄化に関する大町北小学校の子供たちの活動は、その成果を実感できるものであります。「身近な池の浄化の成功という成果が、さらに新たなる環境改善の実践活動を行う自信へとつながるものである」と担任の先生がある研究会で報告しております。
 このように、EMを利用した実践活動は、環境教育の観点からも好ましいものであると考えます。このことについて教育長はどのようにお考えでしょうか、お尋ねいたします。

◎生活環境部長(矢島広道 君)地球温暖化についての御質問でございます。
 次に、堆肥化によるごみの減量化についてのお尋ねでございます。
 EM菌など有用微生物を利用した生ごみの堆肥化処理は、ごみの減量化、資源化という意味で有効な方法の一つであると考えております。
 県内のごみの堆肥化の現状を見ますと、生ごみを収集して高速堆肥化施設で処理を行っているところが5市町村ございます。また、家庭での生ごみ処理機には簡易なプラスチック製コンポスト容器や電動式等の種類がございますが、これら自家処理機器の購入に対して補助を行っているのは66市町村ございます。また、堆肥化を促進するための微生物剤のあっせんまたは補助を行っているところは10市町村ございます。
 ごみの処理につきましては、法体系上、市町村がそれぞれの実情に応じて処理計画を立てて適正な処理を行う市町村固有の業務と位置づけられておりますので、生ごみの堆肥化の促進につきましても、堆肥の需要等地域の実情などを総合的に勘案し、市町村におきましてそれぞれ工夫をし、それぞれ判断をしていただくべき課題ではないかと考えているところでございます。

◎農政部長(宮崎新一郎 君)お話のありましたいわゆるEM農法は、EM菌といわれる数十種の微生物群を用いて農作物栽培等に活用するものであります。
 農作物の生育には栄養分が必要であり、微生物は堆肥などの有機物を分解し栄養分に変える重要な役割を担っております。EM菌につきましても、このような役割を担う微生物群の一種といわれておりますが、土壌中の有機物の残存量などの土壌条件や気象条件、使用方法などの要因により、常に安定した効果が得られるものではないようであります。
 EM菌を使った農法の活用につきましては、科学的データに欠けることや、今のところ必ずしも安定した効果が得られない状況では、なお慎重に検討する必要があるものと考えております。
 しかしながら、県の重点施策の一つであります環境に優しい農業を推進する上で、有機物の施用等による土づくりは極めて重要な課題であり、これらに役立つ微生物資材の活用につきましては大きな関心を持っているところでございます。
 今後とも引き続き、農家の実践例などについて情報収集に努めるとともに、国内における公的試験研究機関での試験結果に基づき、有効と認められる微生物資材については普及に努めてまいりたいと考えております。
 以上です。

◎教育長(戸田正明 君)お答えいたします。
 EM菌を利用した環境教育についてのお尋ねでございますが、学校における環境教育では、単に環境にかかわる知識・理解にとどまることなく、環境から学び、生活の中から課題を発見し、環境をみずから守ろうとする態度の育成が求められているところでございます。
 大町北小学校の環境教育の実践は、身の回りの生活から子供が課題を見つけ、EM菌を素材の一つとして取り上げて、地域の人に尋ねたり調査したりして問題を解決していこうとする活動として、特色ある事例でございます。
 今後も、各学校において、生活の中での子供の発想や工夫を大事にしながら環境教育を進めていくことが大切なことであると考えております。

平成10年 2月定例会本会議

◆6番(佐々木祥二 君)県政会所属・駒ケ根市選出・佐々木祥二でございます。

 次に、平成9年12月県議会において、奥村議員の「有用微生物群が持つ特色、特徴、そして土壌の蘇生など実際に数多くの実績を上げ、今後、積極的に活用すべきであると考えるがいかがか」という質問に、「土壌中の有機物の残存量などの土壌条件や気象条件、使用方法などの要因により、常に安定した効果が得られるものではないようである。EM菌を使った農法の活用については、科学的データに欠けることや、今のところ必ずしも安定した効果が得られない状況では、なお慎重に検討する必要がある」と答えられ、「今後とも引き続き、農家の実践例などについて情報収集に努めるとともに、公的試験研究機関での試験結果に基づき、有効と認められる微生物資材については普及していきたい」と答えられております。
 しかし、この有用微生物群の活用は既に1980年より発表され、実例も多く、長野県においても多数実績もあり、私の駒ケ根市でも、有用微生物群を使用し有機物農法を用いてヒーリングフルーツと称して成果を上げている果樹農家や、稲作で無農薬プラス有機肥料プラス鮒田にして無農薬米で増収・増益をしている方、中川村ではナシの葉焼けを微生物で克服し増収している果樹生産者、また、茅野市で900メーター以上の高地で微生物を使い冷害に強い稲作で活躍されている人等、近所でも実例はあります。
 また、隣の岐阜県では、農政部農業技術課の「有機農業等実態調査結果報告書」によりますと、「EM農法は、事例数は有機質肥料・堆肥型に次いで多く全体の18%を占め、有機栽培の一翼を担う」と記しております。
 そして、JA岐阜経済連では、養豚センター、養鶏場など随所に有用微生物群を活用・利用し、成果を上げております。例を挙げますと、ヘルシーポーク、これは、微生物を飼料の中に添加して豚に食べさせ、抗生物質はなるべく使用しないで生産し、平成8年より開始され、平成8年は1万4,000頭、平成9年は1万6,000頭を出荷したと聞いております。そして、豚ぷんは余りにおわないとも聞いております。次に、EM無薬鶏、これは、EM菌を混合した飼料を給与し、飼料へ抗生物質を添加しないで生産したブロイラーであり、生産は平成9年より開始し、240万羽出荷したと聞いております。ここも以前より独特のにおいは少なくなったと聞いております。まさしく、消費者ニーズに合った、消費者に愛されるブランド名でがんがん売っております。
 最近でも、岐阜環境フォーラムにおいて有用微生物群利用が発表され、農業分野以外でも、生ごみ処理など生活環境面においてリサイクル等でこの微生物が利用拡大されている等、地域住民、事業者、行政一体となって積極的に多方面に普及していることが紹介されております。
 微生物研究に限らず、物事を進めるにはコンセプトが重要になってきます。コンセプトの基本は、まず理想を掲げ、その理想の実現のためにいかなる手だてをするかに尽きると思います。その手法を構成する材料や環境及び技術を高度なレベルで連動させる必要があり、したがって微生物を応用するに当たっては、まず環境と農業に対する哲学があって、その農業を実現するための手段として微生物を応用するという手順になると思います。
 理想的な農業といえば論議百出であると思いますが、安定的でかつ健康の維持増進に積極的な役割を持つ食べ物の生産であり、生産者と消費者ともども経済的・精神的なメリットがあることであり、さらには、環境を積極的に保全し、永続的であり、自然親和型であり、自己完結的かつ自己増殖的で、人口増大に対して責任を負える等、自然共生型ですべて連動した循環型であることが望ましいと思います。
 まあ、いずれにせよ、現在の農業生産は直接的・間接的にエントロピーを増大し、多くの自己矛盾や自己破壊的状況を抱えており、それらのエントロピーをパワーとして農業生産に取り込まない限り、根本的な解決はなかなか難しいと思います。このような背景から、これらの農業技術のあり方は、地球レベルのグローバルパートナーシップのエコシステムを前提に、この問題の解決策を従来とは異なった新しい分野で研究する必要があると思います。
 今現在、人類及び自然の共存・共栄・共生のために、エントロピーをエコロジーにかえる科学技術、情報微生物工学が学際的にも研究され、農業分野でも実際に日本で世界で運用されており、エコロジー産業としてローコスト・ハイクオリティーな成果と実績を上げてきております。
 そういう状況の中で、私は、これから最も有望視される技術・システムの一つがこの有効微生物群の世界であり、このような目で微生物の応用を考えてみると、おのずと道は開けると思います。
 そこで農政部長にお伺いいたします。
 県として、環境に優しい農業技術の開発などを重点的に推進すると言っておりますが、この有効微生物群による農業技術・システムをどこまで情報収集をして今後どのように研究していくのか、御所見をお伺いいたします。

◎農政部長(宮崎新一郎 君)御高見を賜りまして、ありがとうございました。
 1点目の農業の中での環境問題についてでありますが、農業は、土、水、生物などの物質循環の上に成り立つ環境と最も調和する産業であり、適切な営みにより、大気の浄化機能や洪水調節、地下水涵養など、さまざまな環境保全機能を発揮しております。
 一方で、化学肥料や農薬などの使用過多や不適切な処理によっては、環境への負荷が懸念される場合があることを認識しております。
 また、安全な食糧の基準につきましては、すべての食品の安全性確保のために食品衛生法により規制が行われており、この中で農産物の安全性を確保することを基本としつつ、加えて消費者に信頼される高品質の農産物を供給することが必要であると考えております。
 2点目の有効微生物群の活用についてでありますが、微生物の農業分野への利用は全国的にさまざまな機関で研究が行われておりまして、現在流通している微生物資材だけでも数十種あるといわれております。本県では、既に8種類の有効性を検証し普及に移しており、さらに現在5種類を試験中であります。
 今後、引き続き、農業改良普及センター等を通じ県内での使用例などについて情報収集に努めるとともに、試験研究機関において有効微生物群の研究を進め、効果の確認できた微生物資材は逐次普及に努めてまいりたいと考えております。

平成16年 6月定例会本会議
◆11番(永井一雄 君)
 最後に、EMを利用した農業、畜産、水質浄化について伺います。
 EMとは、英語の頭文字ですが、私は発音悪いですから日本語で言いますが、有用微生物群の頭文字からとった略称で、琉球大学教授の比嘉農学博士が開発し、ほとんどの有害化学物質を無毒化する機能を持っていると言われております。
 既に全国的な普及を始め、近くでは小布施町、中野市、あるいは東部町などで農業や環境浄化に取り組まれ、私の住む須坂市においても、臥竜公園の池の水質浄化に小山小学校の生徒の皆さんが取り組んでいただいております。その成果はいずれも目をみはるものがあると講演会などでお聞きをいたしますが、長野県政においても、一つ、EM技術を取り入れた環境浄化対策についての所見を伺いたい。
 二つ、地域で取り組んでいる人や、これから取り組む人たちのためにも、EM拡大活性液製造装置等への補助金制度創設、あるいは安全で快適、低コストで資源循環地域をつくり出す、そういうもののためにも援助できないものなのかどうなのか。農政部長にお伺いをいたします。

◎農政部長(鮎沢光昭 君)お答えいたします。
 EM菌につきましては、今おっしゃったとおり、琉球大学の比嘉照夫教授が、乳酸菌と酵母菌を主体とする数十種類の菌を集めたものという形で普及されていると、こういうことでございます。現在、水稲とか野菜、果樹栽培など、そういうもので利用されたり、家畜の排せつ物の悪臭の除去、あるいは河川の浄化などさまざまな取り組みが県内でも行われているということでございます。
 微生物は、有機物を分解しまして栄養分にかえるなどの重要な役割を担っておりまして、EM菌につきましてもこのような役割を担う微生物群の一種と言われております。
 本年の重点施策でございます環境に負荷を与える農業から自然と共生する農業へと、この取り組みでは、化学肥料を削減して有機物の施用等による土づくりが極めて重要な課題となっているわけでございまして、微生物資材の活用につきましては環境に優しい農業を推進する上で大きな関心を持ってきているところでございます。
 EM菌の利用につきましては、一つの方法として有用であると考えておりますけれども、それぞれの地域にはその地域の自然条件に合った土着菌がございまして、実際、その土着菌を活用した事例も県下にはたくさんあるわけでございます。
 例えば飯山市のあぐりクラブが乳酸菌に豊田村などの土を加えて発酵させたものを水稲に利用している場合、これは20ヘクタール規模でやっているということでございますし、飯田の千代幻豚を生産している方が、自宅裏の竹やぶの土壌菌を利用して堆肥の臭気の低減や堆肥の発酵の促進と、こういうものにも活用しているということでございまして、一番大事なことは、今まで長野県の試験研究あるいは普及センターも含めましてですが、微生物を利用した部分の取り組みというのが非常におくれていた、このことは否定をしないところでございまして、私たちは、これからの環境に優しい農業というものを推進する上で、多様な微生物を利用するということは必要であると。ですから、EM菌に限ったことじゃなくて取り組みをしていきたいというふうに思って、過日、研究会を発足させたところでございまして、これからしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

平成18年 9月定例会本会議
◆15番(丸山賢二 君)御答弁いただけましたが、凍結という意味の解釈、私は、当該地域の高校教育に対する議論が熟成されてくるまでは白紙であるという解釈をさせていただきます。
 次に移らせていただきます。
 平成16年5月の中央環境審議会答申を受けて、環境と経済の好循環が今後の環境対策のキーワードとされ、とりわけ地域レベルでの実践が重視されてきております。自然環境に恵まれた本県では、特に重視すべき政策目標であると私は考え、環境と観光、環境と地域おこしなどのテーマで、再三、この場で事例も交え提起してまいりました。
 すなわち、長野県においては、環境と経済の好循環に向けたさまざまな取り組みを観光振興に集約させることにより、より高い地域おこしの効果が得られるのではないかと考えています。今回も、このことをテーマに質問させていただきます。
 まず、市民の環境保全の取り組みを観光振興とつなげていくことです。
 事例を一つ紹介します。夏の松本城は、お堀のにおいが長年の問題となっていました。ことしは、市民グループの提起があり、私も仲立ちをして、春にいわゆるEMだんご、EM活性液をボランティアによりまきました。そのかいがあってか、ことしは苦情が1件しかなかったと伺っております。
 しかし、このような取り組みも、科学的な根拠がないといった理由から、行政の対応は冷ややかであることが少なくないとも伺っています。行政には慎重さも必要ですが、前向きな取り組みには、市民実験という考え方により、チャレンジの機会を与えることも大切ではないかと思います。
 また、農業を環境保全や景観づくりに貢献するように促すことも重要な政策課題です。
 先日、農政部の案内で視察した飯綱町の養鶏場では、臭気に配慮しながら、信州地鶏や信州黄金シャモという優秀な地場産品を育てていました。建設業の構造改革の取り組みと伺っております。ここでもEM菌を使っていましたが、林奉文議員の養豚場を伺ったときも、そのようにして嫌なにおいのしない清潔な環境でおいしい豚を育てていることに感銘いたしました。
 また、畜産業は、さまざまな切り口から観光資源となり得るものです。しかし、実際には、臭気や景観への配慮が欠けるために観光地のイメージを損ねている場合も少なくありません。観光資源となるために、周辺環境に配慮した畜産業の育成は大切な課題ではないでしょうか。


  • 最終更新:2013-11-22 08:24:48

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