鳥取県

鳥取県議会とEM

平成17年2月定例会

◯18番(湯原俊二君)

 4点目は、EM菌を使った中海の浄化策についてであります。
 新しい中海の水質保全計画が策定中でありますが、今日までどちらかというと公共下水道や農業集落排水の整備といったハード事業がメーンでありました。もちろん今後もハード事業は必要と考えますが、一方で、やはりソフト事業、特に島根、鳥取両県の地域住民が中海浄化に参加意識を持てる環境教育も兼ねたソフト事業が必要と考えます。EM菌を使った浄化策については、効果において疑義があるにもかかわらず三重県や大阪市で導入され、成果も聞いております。近隣では安来市が取り組みをしております。今後は、申し上げたように両県の地域住民が浄化策に参加することが重要だと考えますと、両県においてEM菌を使った中海の浄化策を検討すべきと考えます。知事の所見を求めます。

◯知事(片山善博君)

 いわゆるEM菌を使った浄化策についての御提言がありましたが、これについては生活環境部長の方から御答弁申し上げます。

◯生活環境部長(内海英一君)

 まず、EM菌を使った浄化対策であります。
 既に県内でもEM普及協会による湖山池の流入河川であります倉見川、赤碕のため池での浄化実験を行われていますし、米子市の婦人連合会が家庭排水の浄化実践活動などをEM菌を使ってやっておられます。また、他府県におきましても、EM菌を使って台所排水の浄化とか汚濁が著しい都市河川の浄化をやっておりまして、一定の効果があったというふうに言われております。こうした住民主導の水質浄化の取り組みについては、どんどんやっていただきたいと思っていますし、県としても市町村とも連携しながら応援していきたいと思います。
 かつては県のスタンスが、効果が実証されないと応援しないというふうにとらえていたというようなところがあったと思うのですけれども、今はスタンスを変えていまして、効果はありそうだけれどもよくわからないというときには、前向きにやってみるし、県も応援したいというふうに考えています。
 ただ1つだけ、中海のような広大な水域にEM菌を大量に投入するとなりますと、培養物質というのですか、米のとぎ汁とかぼかしとか糖蜜を大量投入することになりますので、かえって水質が悪化するのではないかという懸念があるのも事実であります。したがいまして、どういった条件でどのような効果が発揮されるかといったことの検証も含めまして、県と住民団体、NPOなどが一緒に実証実験を行うような形で応援していきたいというふうに考えています。

◯18番(湯原俊二君)

 EM菌を使ったものについては、内海生活環境部長からありました。NPOと実証実験をするということですので、大変ありがたいと思います。地元の住民の皆さんからそういう声があったときは、ぜひとも二人三脚でお願いをしたいと思います。


◯知事(片山善博君)

 私の2期目の県民の皆さんとの約束の件でありますが、御指摘になられましたように、雇用の問題、農業の問題、水産業の問題、産業廃棄物の処分場の問題、それぞれ進捗度の低い分野であります。
 私、先ほど申しましたけれども、これはいずれも行政だけで進めることのできない分野でありまして、行政は枠組みをつくったり支援制度をつくったりするのでありますけれども、最終的に主体となって実際に進めていただくのはそれぞれ民間の皆さんになるものですから、そこのところのもどかしさといいますか、ギャップというものがどうしても出てくるわけであります。これすらも、目標に達していないから役所がまた前に出て、役所主導で民間を引っ張っていこうかということになりますと、これは悪循環になると私は思うのです。
 私は自分の主義といいますか考え方として、民業というのは、やはり民間の皆さんが本当に主体的に責任を持って、リスクを持ってやるということが本当の力だと思うのです。官に頼って、官が主導して、官が引っ張っていく民業の振興というのは、私は語義矛盾だと思っているのです。ですから、いろんな分野から御批判もよくいただいております。特に農業などは、従来は行政が中心となってやっていたのに、バックアップといいますか後方支援に回っているのではないかということをよく御批判をいただくのですけれども、私はその批判は当たっていないと思うのです。本来やっぱり農業も企業でありますから、企業の皆さんが前に出て、それを行政がバックアップをするというのが本来の姿で、行政がコルホーズの親方みたいに引っ張っていくというのはやっぱり無理なのです。だから農業はだんだんだんだん力が弱くなってきているわけです。それを転換しようというのが今の時期だと思うのです。急に冷たくするというわけでは毛頭ありませんで、ちゃんとやりますけれども、しかし、基本的な考え方というのは、やはり企業家としての農業──農業だけではありませんけれども、それをいかに育てていくか。農業でいいますと独立自営農業をいかに育てていくかということが一番の基本になるのだと思います。
 そういう意味で、今一種の過渡期だと思います。護送船団、過保護と言うとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、行政主導でかなり手厚い業界行政をやっていたものが、本当に主体的に自立をして、民間の企業の皆さん、民間の主体が伸びていくというこういう過渡期だろうと思いますので、実は私自身ももどかしい面があるのですけれども、その辺が数字の上でも出てきているということではないかと思います。さらに本当の意味での民間分野の自立と発展につながるように努力をしたいと思います。
 指定管理者制度になって、どうしても限られたパイ、縮小気味のパイを分け合うことになるのだから、今までよりも撤退とか縮小が多くなるのではないかということでありますが、それはそのとおりだと思います。趨勢としてはそうであります。
 現に例えば、近々議案として追加で提案したいと思っておりますけれども、境港の竹内団地のみなと温泉館については、指定管理者制度のもとで入札公募いたしました。そうしましたら純粋民間の事業者の方が選定をされて、それがいいかどうかの議案を出すわけでありますけれども、従来あそこはいわゆる外郭団体であります観光事業団に委託をしていたわけでありますけれども、今回の指定管理者制度の公募には観光事業団は手を挙げられませんでした。それはそれなりの経営判断が主体性を持ってあったのだろうと思います。ですから、そういう形で自動的に当該法人が採算制なども考えながら法人の組織、陣容を縮小していくということも、実は事実的に始まっているわけであります。それが本来の姿だろうと私は思います。それが本来指定管理者制度がねらった一つの効果だろうと思うのであります。ですけれども、そればかりでは多分世の中はうまくおさまらないと思いますから、湯原議員のおっしゃったような縮小、撤退に当たって何らかの手だてが必要だというのは、そういう面もあるだろうと思います。
 ただ、それは一律にルール化するものでもないのではないか、なかなかそういうものにはなじまないのではないかという気も一方でいたします。
 いずれにしても、これからの推移を見ながら適切な対応をしていきたいと思います。
 中海干拓の後始末で、その後のことを今の両県知事で明文化しておくべきではないかということでありますが、農水省も含めて中海協議会で最終的な結論を出すわけでありますけれども、今回の部分開削の問題をめぐって、あと2年もだらだらと長引くことは多分ないだろうと私は思います。ですから、中海協議会でなるべくスピーディーに結論を得ていただくということがまず第一で、そうしますと、当然そんなに遠くない時期に両県のその後の対応というのは明文化できるのではないかと思っております。
 大橋川の拡幅の同意のタイミングでありますが、これは上流域とか放水路が何%になったからということではないのです。同意をするかしないかというのは、先ほど申しましたけれども、要件が2つ、現状では3つあるわけでありまして、環境アセスメントが納得できるものになっていますかどうですかということが1つ。中海の護岸の整備がちゃんとできていますか。100%全部できるかどうかというのは議論の余地があると思います。ほぼできて、後は時間の問題だということでもいいかもしれませんけれども、いずれにしても、中海の護岸がちゃんと整備されていますかということ。それから、今回問題になっている本庄工区の堤防の開削問題に決着がついていますかというこの3つなわけでありまして、それが同意をするかどうかの要件であります。ですから、いつ同意を求められても、その要件をちゃんと満たしているかどうかの点検をするということになるのだろうと思います。

◯18番(湯原俊二君)

 メディアスタートについてでありますけれども、内海生活環境部長は、EM菌では、効果があるかどうかというところだけれども前向きにやりますよという話とは逆で、知事はメディアスタートで、おそれがあるかどうか検証できるまでは動けないみたいな答弁があったかと思いますけれども、若干は動いていますけれども、私は確かにコンセンサスはある程度必要なのかなと思いつつ、その前に情報提供の絶対量が足りないと思います。

  • 最終更新:2013-11-24 15:54:05

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